前走が阪神JFだった1番人気馬は【5-0-2-0】
クラシック路線を歩む若駒のローテーションは確実に進化した。牡馬の弥生賞ディープインパクト記念（以下、弥生賞と表記）はこの10年、皐月賞で【0-5-2-34】、18年9番人気2着サンリヴァルが最後。
今年こそダノンザキッドが弥生賞に登場予定だが、風潮としてはトライアルを使わない時代になりつつある。牝馬の最有力トライアルであるチューリップ賞は、直近10年桜花賞で【5-7-6-28】と優勢にみえる。しかしチューリップ賞がGⅡになった2018年以降に限ると【0-3-2-9】、桜花賞馬を出せていない。
今年も阪神JF1、2着のソダシとサトノレイナスは桜花賞直行予定。シンザン記念から桜花賞を勝ったアーモンドアイ、エルフィンS経由だったデアリングタクト、三冠牝馬のローテが与える影響は大きい。
当初チューリップ賞を視野に入れていた阪神JF3着ユーバーレーベンが回避（フラワーC出走予定）、前走が阪神JF組は当時4着だったメイケイエール1頭しかいない。例年以上の混戦模様が予想されるチューリップ賞について、過去10年間のデータをもとに探っていく。
1番人気は【5-1-2-2】と堅実。馬券圏外に敗れたのは13年レッドオーヴァル、15年クルミナルの2頭。いずれも阪神JF不出走だった。16年1番人気2着ジュエラーも暮れのGⅠに出なかったが、直前でシンザン記念2着という実績があった。
前走が阪神JFだった1番人気馬は【5-0-2-0】と凡走なし。1番人気濃厚なメイケイエールの3着以内は堅いか。ほかに目を転じると、勝ち馬はすべて5番人気以内、8番人気以下で馬券になったのは16年10番人気3着ラベンダーヴァレイのみ。好走馬は半数より上の人気馬に限られそうだ。
メイケイエールは鉄板なのか
ではチューリップ賞の好走馬はどんな戦歴を持っていたのか。ここからは具体的にキャリアや前走クラス別などのデータをみていく。
新馬直後にあたるキャリア1戦【0-1-0-4】ないし2戦は【1-2-2-12】と苦戦傾向。エリザベスタワー、バリコノユメ、エイシンピクセルあたりがひっかかる。
好走ゾーンはもう少しレース経験を積んだキャリア3戦【4-3-3-20】、4戦【4-2-4-32】。メイケイエール、テンハッピーローズ、ストゥーティ、レアシャンパーニュ、シャーレイポピーといった顔ぶれが該当する。
キャリア別成績から何頭か候補がいたが、前走クラス別成績をみると、これが一気に絞られる。前走GⅠ、つまり阪神JF組が【8-3-6-10】と圧倒的。必然的にメイケイエールしか残らない。
ただしこの阪神JF組は、3着以内だった馬が【8-2-5-3】。馬券圏内に入った馬でこれに該当しないのはたった2頭。12年3番人気2着エピセアローム（阪神JF8着）、13年5番人気3着アユサン（阪神JF7着）といずれも阪神JFで掲示板を外した馬たち。
メイケイエールが該当する阪神JF4着は【0-0-0-2】、19年2番人気5着シェーングランツ、20年3番人気6着ウーマンズハートと上位人気を裏切った馬ばかりで不安になる。もっとも、たった2頭のデータをもってキケンとはいいがたい。
別角度からメイケイエールについて考える。阪神JFでの位置取り別成績をみると、メイケイエールが該当する中団は【3-2-4-6】勝率20％、複勝率60%で悪くない。だが先行【3-1-0-3】や後方【2-0-1-1】と比べるとやや見劣る。
位置取りでいえば、メイケイエールは、2歳時に折り合いを欠くシーンが目立つ気性の激しさを抱えた馬だった。その位置取りは不安定といってもいい。チューリップ賞でははたして我慢できるのか、それとも前に行かせるのかなど戦術面も注目したいところだ。
単複狙いは別として、メイケイエール1頭では馬券作戦は成立しない。前走クラス別成績でいえば、前走GⅢが【0-3-1-14】で勝ち馬こそ出ていないが、複勝率は22.2%とまずまず。フェアリーS4着テンハッピーローズが相手候補の筆頭だろう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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