上位人気堅実も単勝妙味はたっぷり
1着馬には高松宮記念の優先出走権が与えられるステップレースのひとつ、阪急杯。過去10年、このレースをステップにした馬は高松宮記念で【3-3-2-37】、着度数別ではシルクロードSに次ぐ。ただし、その優先権を得られる1着馬は【2-2-0-4】、勝ったのは14年コパノリチャードが最後。
連対馬は16年ミッキーアイル以降なく、ここ2年は高松宮記念に出走していない。その19、20年は阪急杯7着馬が高松宮記念で好走(19年ミスターメロディが1着、20年クリノガウディー1位入線4着)。
阪急杯は1400m戦のスペシャリストを買い、凡走組からスプリント戦で巻き返しそうな馬を探る。そういったレースである。ここでは過去10年間のデータを用いてその傾向を探る。
1番人気は【2-2-2-4】。複勝率は60%なので信頼してよさそうだが、単勝となるとやや心もとない。2番人気も【2-2-2-4】でまったく同じ。3番人気【0-1-0-9】は注意すべきも、勝率は7番人気【2-0-0-8】まであまり変わらない。単勝は中穴程度まで十分狙えそうだ
年齢だと4歳は【1-3-4-23】勝率3.2%、複勝率25.8%で単勝を狙いづらい。5歳【5-2-2-31】勝率12.5%、6歳【3-3-2-35】勝率7%が優位。春の重賞は条件戦と異なり、4歳より5、6歳優勢というケースは多いので覚えておきたい。
単勝狙いは前走同距離組
人気と年齢の傾向をつかんだところで、ここからは具体的に阪急杯好走パターンを戦歴から探ることにする。
前走が同距離(1400m)だった馬は【4-4-3-33】勝率9.1%、複勝率25%でトップ。これは1400mや1800m、2200m戦など非根幹距離の重賞に多い傾向である。1400mのスペシャリストが強いという根拠にもなる。
延長組は【4-3-2-52】で短縮組は【2-3-5-49】。短縮組は大半が前走1600mだった馬【2-3-5-47】なので、単勝は前走1400m以下だった馬、連下はそれにプラスして前走マイル戦組と考えたい。
前走レース別成績の着度数別上位十傑をみる。このなかで想定馬が当てはまるのは同距離同舞台の阪神C【3-4-2-19】、1200mのシルクロードS【2-2-0-23】とマイル戦の京都金杯【1-2-1-8】、マイルCS【0-0-2-4】。前走がマイルCSだったレシステンシアはやや気になるデータだろう。
浮上するのはジャンダルムとクリノガウディー
ではこのなかから阪神C、シルクロードS、京都金杯について具体的に好走ゾーンを掘り下げてみる。
阪神C組【3-4-2-19】についてその脚質別の成績を出す。もっとも評価できるのは阪神Cで先行した馬【1-1-0-3】。ダノンファンタジーとジャンダルムがここに該当。
3歳ローズS以来の勝利を飾ったダノンファンタジーは、2歳ファンタジーS以来の1400m戦で目覚めた感もあるので、ここでも中心視したいところだ。ジャンダルムは7着とはいえ、着差はたった0.5。ここに出走予定の3着インディチャンプには0.1しか負けてない。人気の盲点になるようなら狙いたい。
そのインディチャンプが該当する中団は【1-2-2-7】と複勝率ならば先行以上。上位人気は複勝圏内なら信頼度が高いというデータとも合致。しっかり買い目に入れておきたい。
今年は中京だったシルクロードS組【2-2-0-23】は阪神Cより好走ゾーンは狭く、先行した馬が【2-1-0-5】で好成績。中団より後ろで競馬した馬は苦しい。この組から評価するならば、4角12番手だったザイツィンガーより同2番手だったクリノガウディーだ。
シルクロードSは前後半600m33.7-34.6、逃げたモズスーパーフレアと共倒れになったクリノガウディーが、一変する可能性は考えられる。ちなみにシルクロードSで先行した馬の阪急杯での単複回収値は337、121とおいしい。
最後はブラックムーン(同1.1差14着)が当てはまる京都金杯組【1-2-1-8】について前走着差別成績をみる。1秒以上負けると【0-0-0-5】なので、厳しい。相手も強いしさすがにここで目を覚ますのはないか。
付け加えると、レシステンシアが当てはまるマイルCS組【0-0-2-4】は前走中団【0-0-2-3】、着差0.3~0.9差【0-0-2-2】が好走パターン。これも昨年のマイルCSは阪神だったので、まるっきり信頼できるかどうかは微妙。逃げて0.8差だった4歳レシステンシアの取り扱いは難しく、ダノンファンタジーのように1400m戦出走で覚醒、データ以上に激走する可能性もなくはない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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