高松宮記念に向けた前哨戦
1月31日(日)に中京競馬場で行われるシルクロードS(GⅢ・芝1200m)。昨年の高松宮記念を制した快速牝馬モズスーパーフレア、昨年のNHKマイルC勝ち馬ラウダシオンなど好メンバーが揃った。
近年では2017年2着のセイウンコウセイ、2018年1着のファインニードル、2020年4着のモズスーパーフレアがシルクロードSを経由して高松宮記念を制覇しており、重要なステップレースとなっている。今年は京都競馬場が改修工事中のため、高松宮記念と同じ中京芝1200mで行われる。本番への重要度が増してくると考えられ、注目の一戦となりそうだ。
中京芝は傷みが進行し外差しが決まる
現在の中京競馬場の芝コースは、先週の雨の影響もあり相当傷んでいる。そこで開催7日目、8日目となった先週末と開催1日目、2日目の芝レースにおける3着以内の4角コース取りを比較していく。

先週末の1回中京開催7日目(1月23日)、8日目(1月24日)の芝のレースは9レースが施行された。3着以内に入った27頭のうち、4角で最内を通った馬が10頭、大外を回した馬が8頭だった(コース取りについては、外に馬がいない且つ内に2頭以上いる場合を大外、ラチ沿いを通った馬を最内とし、4角出口ではなく4角途中で確認している)。割合にすると最内を通った馬が37.0%、大外を回した馬が29.6%、その他が33.3%だった。
対して、今年の1回中京開催1日目(1月5日)及び2日目(1月9日)は、3着内馬27頭中15頭が最内を通っていたのに対し、大外を回していたのはわずか6頭しかいない。同じく割合にすると、最内を通った馬が55.6%、大外を回した馬が22.2%、その他が22.2%である。この2つのデータを比べると、依然として内を通った馬も好走しているとはいえ、少しずつ外差しが決まるようになってきているといえるだろう。
またその他に分類した馬も、やや外寄りの進路を選択した馬の割合が増えてきており、外有利に傾きつつある。今週からBコース変わりとなるが、先週のレースを見る限りではかなり外まで荒れてきており、仮柵でカバーできるほどではない。日曜メインレースの時間帯までには、先週と同じような傾向になっているとみる。
馬場の恩恵を生かせそうな馬は?
今週の中京芝レースは外差し傾向であり、先週の雨中での開催により、良馬場だとしても芝が荒れて力の要る馬場になりそう。今の馬場に合う馬を上位に評価したい。
そこで本命をシヴァージとする。条件馬時代はダートで4勝を挙げているし、5走前の北九州短距離S勝利時も重馬場で各馬が内を避けて通る中、外から突き抜けたのを見ると、荒れ馬場適性は高い。
それ以来勝利はないが、高松宮記念は展開が向かない中、グランアレグリアと同じ上がり33.1を使って5着。函館SSやセントウルSは時計が速く、後ろからでは届かない流れでの敗戦で度外視。5着だったスワンSは追い込むも前残りの展開と、負けたレースは敗因がはっきりしている。それでも小差の競馬ができているのはいい。
荒れ馬場に加えて、モズスーパーフレアやセイウンコウセイがいてある程度ペースが流れるし好材料が揃った。狙いは今回とみる。
2番手はエイティーンガール。2走前のキーンランドカップは外枠が向いたのは間違いないが、荒れ馬場への適性を示し、はまった時の強さをみせた。前走のスプリンターズSは、馬場だけでなく直線で前が詰まる不利もあり、力を出し切れていないので度外視できる。
3番手はライトオンキュー。2年前の京阪杯が非常に強い内容で、外へスムーズに持ち出し直線で突き抜けた。昨年はコロナの影響で開催が中止になったが、ドバイ遠征を考えていたくらいで、このメンバーの中では地力も高い。ただ、4コーナーから早めに進出するとキーンランドカップのように目標にされそうなので3番手評価とする。
4番手にはクリノガウディー。昨年の高松宮記念で1位入線(4着降着)した馬で、グランアレグリアには不利に関係なく先着するなど、はまった時の爆発力は随一。何かと難しい馬で昨夏は2桁着順が続いていたが、近走はGⅠで5着に入るなど復調気配。左回りの1200mは条件的に合っていて、自分の力を出し切ることができれば好走しても不思議ではない。
5番手はラウダシオン。崩れたのは前走のマイルCSと朝日杯FSという阪神マイルのみで、それ以外は全て3着以内と安定した成績を残している。左回りは4戦4連対と得意にしており、道悪でも好走歴があるなど荒れ馬場にも強い。久しぶりの1200mや明け4歳のレベルが不安でやや評価を下げたが抑えは必要だ。
モズスーパーフレアは、昨年の高松宮記念こそ繰り上がりで勝利したが、展開に恵まれた面がかなり強い。中京コース自体はそこまで向いているとは思えず、中山などの高速決着が得意な馬だとみている。高松宮記念こそ重馬場での勝利だったとはいえ、今回のパワーの要る馬場はベストとは言えず、マークの厳しくなる今回は展開も楽ではない。更に今回は春に向けての叩きの意味合いが強く、斤量も実質トップハンデ。地力は認めるが、ここでの好走は難しいとみて軽視する。
買い目は◎シヴァージの単勝と◎1頭軸の3連複流しで勝負したい。(文:川崎)
▽シルクロードS予想印▽
◎シヴァージ
○エイティーンガール
▲ライトオンキュー
△クリノガウディー
×ラウダシオン
消モズスーパーフレア
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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