上位人気堅実だが複穴に注意
1回東京開幕を告げる根岸Sは、最終週にある2021年GⅠ第1戦・フェブラリーSの前哨戦である。過去10年、フェブラリーSで根岸S組は【4-2-2-49】。16年モーニン1着、17年ベストウォーリア2着、カフジテイク3着、18年ノンコノユメ1着、19年ユラノト3着、20年モズアスコット1着と5年連続で馬券に絡んでいる。フェブラリーSの大きなヒントになる根岸Sについて過去10年のデータをもとに分析する。
1番人気【3-3-0-4】を筆頭に上位人気は堅実。3番人気以内は【6-7-1-16】なので人気馬に逆らうのは無理筋。一方、9番人気【0-1-1-8】や10番人気以下【0-0-4-63】など2、3着に人気薄が飛び込む余地はありそうだ。
年齢別では出走頭数こそ少ないが、好走馬を出す4歳【2-2-0-8】にまず注目。東京ダートは他場と比較すると、もっとも時計が速いスピードトラック。若い馬に優位な傾向がある。ただ、4歳の好走馬は1、1、1、2番人気と上位人気。凡走した8頭は4、6、6、2、15、7、8、4番人気。前走勝って勢いに乗るテイエムサウスダンは微妙なところ。他のデータにも照らしてみる。
好走パターンを前走レース別でみると、武蔵野S、カペラS、ギャラクシーS、師走S経由で出走した馬が好走。11、12月のオープン、GⅢ出走が好走条件。テイエムサウスダンの前走は1月のすばるS1着。前走すばるSは過去10年で1頭(20年ブルベアイリーデ、すばるS5着、根岸S9着)。
4歳好走馬は前走1着【1-1-0-2】、2着【0-1-0-0】、3着【1-0-0-0】と前走好走が必須。テイエムサウスダンはここをクリア。上位人気にはなりそうにないが、さてどうだろうか。
実績馬の6歳か勢いある5歳か
では出走馬が多い5歳以上はどうだろうか。まずは5歳【3-4-1-23】勝率9.7%、複勝率25.8%からみていこう。
想定に5歳馬で前走1800m【1-0-0-2】は不在、1200m【1-1-0-9】もしくは1400m【1-3-1-9】に限られる。前走カペラS(ダ1200m)2着レッドルゼルはややデータ的には厳しく、ここでは前走1400m組を掘り下げる。というのも前走1400m組は単複回収値91、116で5歳の複穴はここから出現する。
5歳、前走1400m戦でどんな着順だった馬が根岸Sで好走したのかを調べると、前走1着【0-2-0-4】、前走2着【0-1-1-1】、前走3着【1-0-0-2】が高確率。5着以下は【0-0-0-2】で、前走好走が条件になる。想定にいる5歳馬はアヴァンティスト前走すばるS2着、スマートセラヴィー前走ギャラクシーS3着、ヘリオス前走霜月S1着。この3頭はいずれも穴馬の資格十分だ。
さらにアルクトスやタイムフライヤーなど実績馬が多い6歳【4-2-3-34】にも踏み込む。
6歳は前走クラスがわかりやすい。前走GⅠが【2-1-2-5】勝率20%、複勝率50%で最上位。アルクトスとタイムフライヤーは前走チャンピオンズC9、8着。今年の実績馬は好走する可能性が高い。
GⅠ好走馬は根岸Sでは案外。狙いはGⅠで6~9着だった馬【1-1-1-1】。どちらもこの好走ゾーンに合致。1400mへの距離短縮で人気を集めそうなアルクトスはことさら逆らえそうにない。
最後にもう1頭の実績馬ワンダーリーデルの8歳【0-1-5-18】を調べる。
8歳好走ゾーンは前走距離から。前走1600m【0-0-1-2】、前走1800m【0-0-2-2】の距離短縮組が優勢。複勝回収値はどちらも400。穴は8歳の距離短縮組からも出現する。
ワンダーリーデルは東京に絞った使われ方をされる馬で、前走は武蔵野S4着。武蔵野S組は【0-0-1-1】。15年アドマイヤロイヤル武蔵野S14着から根岸S3着、19年メイショウウタゲ武蔵野S10着から根岸S15着。ワンダーリーデルは過去2年根岸S5、8着。今年のメンバーであれば武蔵野S4着のワンダーリーデルはそこそこ売れそうで、嫌ってもいいかもしれない。
データを調べた結果、2021年根岸Sは6歳実績馬に5歳伏兵という組み合わせがよさそうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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