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【天皇賞(秋)】近1年でGⅠ7レース中6レースで連対 古馬中距離路線は牝馬にお任せ

2020年天皇賞・秋インフォグラフィック
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ⒸSPAIA

ここ1年は牝馬の活躍が顕著

11月1日(日)に東京競馬場で行われる天皇賞・秋(GⅠ・芝2000m)。史上初の芝GⅠ8勝目を目指すアーモンドアイをはじめ、宝塚記念を圧勝したクロノジェネシス、天皇賞・春を連覇したフィエールマンなど豪華メンバーが集結した。伝統の一戦を制するのはどの馬か?近年の中距離戦線を振り返りつつ予想していきたい。

まずは、ここ1年の中距離戦線を振り返っていく。

2019年秋以降の中距離GⅠで馬券に絡んだ牝馬


昨年の天皇賞・秋以降、芝1600m~2500mの古馬混合GⅠ7レース中6レースで牝馬が連対している。連対しなかったのは、有力馬が出走していなかったマイルCSのみだ。また、牝馬が連対した6レースのうち5レースでは勝利しており、ワンツーを決めたものも2レースある。

特筆すべきはそのアベレージで、古馬中距離芝GⅠでの牝馬の成績は【5-3-1-8】と複勝率52.9%を記録している。出走数は17頭と少ないのにも関わらず、ほとんどの古馬GⅠを席巻している牝馬の勢いには驚くしかない

ディープインパクト産駒の牡馬は古馬になるとイマイチ?

続いて、現代の競馬界の中心と言ってもいいディープインパクト産駒の成績についても見ていこう。

ディープインパクト産駒の国内芝GⅠ成績

ディープインパクト産駒の古馬混合戦での成績


牡馬は古馬になると2000m~2500mの国内芝GⅠを勝ち切れていない。ディープインパクト産駒の牡馬は古馬になって8勝を挙げているが、このうち2000m~2500mで勝ったのは、大阪杯のアルアインと天皇賞・秋のスピルバーグのみ。3歳のうちにGⅠで17勝、皐月賞馬やダービー馬を数多く輩出しているにもかかわらず、この結果は意外ではなかろうか。

ちなみに1600mのGⅠでは4勝、また牝馬の場合は出走数が少ないながらも4勝を挙げており、それらの成績と比べてみてもやや物足りない成績だ。今年の出走馬で該当するのはカデナ、ジナンボー、ダノンキングリー、ダノンプレミアムの4頭。有力馬もいるが、勝ち切るまでは難しいと考える。

アーモンドアイの死角は?

最後に、史上初のGⅠ8勝目を目指すアーモンドアイの粗探しをしてみたい。1つ目の不安要素としては、今回奇数枠に入ってしまったことが挙げられる。

アーモンドアイが出遅れたレース


過去出遅れたレースは、シンザン記念、桜花賞、安田記念(2020年)のように奇数枠であったことが多い。ゲートで落ち着いているタイプの馬ではないので先入れの奇数枠となってしまったことは懸念材料である。

2つ目は、なかなか馬体重が絞れていないこと。調教後馬体重を基準に考えると、昨年の天皇賞から483kg→486kg→489kg→493kg→496kgと増えている。3歳から4歳にかけての成長期ならまだしも、5歳秋になっても増え続けているのは気がかりだ。特に今回は絞れてこないというコメントが出ていたくらいなので、余裕残りなのは否定できない。

牝馬にかなう牡馬はいない

以上を踏まえ、クロノジェネシスを本命、アーモンドアイを対抗とする。まず、最初の項で述べたように、現在の中距離戦線は牝馬が強く、今回出走する牡馬のほとんどがGⅠで牝馬に完敗してきている。牡馬に新興勢力が現れたわけでもなく、3歳馬の参戦もないので春と勢力図が変わっていない。牝馬2頭の上位は揺るがないとみる。

クロノジェネシスについては、宝塚記念で持ったまま圧勝した内容が非常に良かった。休み明けは走るし、4歳でさらなる成長が見込めるのは好材料。超スローペースになると切れ負けする可能性もあるが、今回はキセキが出走しており、超スローなら途中で動いていくはず。

ペースはある程度流れそうなのでこの馬には合っており、こちらの方を上位に取りたい。馬体重が増えて出てきた時は4戦4勝のパーフェクトなので、プラス体重で出てきて欲しいところだ。

アーモンドアイに関しては前項で粗探しをしたが、どれも大きな不安要素とまでは言えず能力差もあるため、牡馬勢に負けるとは考えづらい。良馬場の2000mなら対抗より下の評価には落とせない。

以下、スタート次第だが地力はあるキセキ、GⅠでは勝ち切れないものの安定感はある4歳馬ダノンキングリー、昨年の2着馬で器用な競馬のできるダノンプレミアムまで印を回したが、正直3着は何が来てもおかしくないくらい混戦だ。

3連系の馬券では点数が増えてしまう割に、牝馬2頭が上位に来ると配当が付かない。そうであるならば、クロノジェネシスからアーモンドアイへの馬単1点で勝負したい。(文:川崎)

【天皇賞・秋 予想】
◎クロノジェネシス
○アーモンドアイ
▲キセキ
△ダノンキングリー
×ダノンプレミアム

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。


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