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【天皇賞(秋)】宝塚記念圧勝クロノジェネシスは最初に消し ハイブリッド式消去法で残ったのは2頭

2020 10/28 06:00八木遊
2020年天皇賞(秋)ハイブリッド式消去法インフォグラフィックⒸSPAIA
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5つのデータから絞れた馬は?

先週の『菊花賞』は、コントレイルが苦しみながらも三冠達成。前走500kg未満の馬が、当日マイナス馬体重だと苦しいというデータが出ていたが、あっさり覆された。2着のアリストテレスも2つ目のデータで消去しており、完敗の菊花賞となった。

今週の対象レースは『天皇賞(秋)』。過去10年のデータから複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、馬券対象から1頭でも多く“消去”して週末の予想に臨みたい。今年はどの馬が凡走する確率が高いのか、データで迫った。

『前走馬体重480kg未満』×『非SS系』★0.0%★

このレースを勝ち切るには、ある程度の馬格が必要だ。過去10年の勝ち馬の平均馬体重は492.6kg。ここでは前走の馬体重に注目。前走480kg未満だった馬は【1-3-2-42】と苦戦している。なかでも、父が非サンデーサイレンス系種牡馬の場合は【0-0-0-17】で、1頭も馬券に絡んでいない。

今年、登録12頭の中でこの条件に合致したのはクロノジェネシスだけ。宝塚記念の勝ちっぷりからアーモンドアイに次ぐ2番人気が予想されるが、未対戦の強敵も多く危険な人気馬とみて、ここでは消しとしたい。

【今年の該当馬】
・クロノジェネシス

『関西馬』×『母父ミスプロ系』★0.0%★

2つ目の消去データも過去10年ですべて馬券圏外に消えている。天皇賞(秋)では、関東馬と関西馬がほぼ互角の戦いを繰り広げているが、複勝率で若干劣るのは関西馬の方だ。関西馬の母の父がミスタープロスペクター系だった場合は【0-0-0-14】。2年前にはこれに該当した1番人気スワーヴリチャードが惨敗を喫した。

今年はスカーレットカラーだけがこの条件を満たした。その戦歴からGⅠでは明らかに力不足。クロノジェネシスに続いて、2頭目も牝馬だった。

【今年の該当馬】
・スカーレットカラー

『非社台系生産馬』×『前走3番人気以下』★2.0%★

近年、古馬の芝中距離レースは社台系生産馬(特にノーザンファーム)の独壇場という状態が続いている。今年のクラシックは非社台生産馬が活躍したためこの傾向は変わっていくかもしれないが、天皇賞(秋)に関しては非社台系生産馬が大苦戦。前走3番人気以下だった場合の成績は【0-0-1-49】と絶望的な数字が残っている。唯一の3着馬は2年前に6番人気で3着に好走したキセキだった。

今年この条件に該当したのは4頭。ダノン2頭に加え、ウインブライトとカデナが消えた。

【今年の該当馬】
・ウインブライト
・カデナ
・ダノンキングリー
・ダノンプレミアム

『前走から距離短縮』×『今回斤量増』★3.0%★

続いて注目したのは前走の距離。同じ2000mからの参戦は複勝率13.3%と低いが、これは有力な前哨戦に2000m戦が少ないため。距離延長と短縮組だと、前者がやや優位。前走2000mを超える距離を走った短縮組の中で、今回斤量が増えていた場合は【1-0-0-32】と苦戦していることが分かった。

今年この条件を満たすのは、前走の京都大賞典で57kgを背負っていたキセキの1頭だけ。4つ目の条件を終えて、12頭中7頭が消えた。

【今年の該当馬】
・キセキ

『前走上がり4位以下』×『5歳以上』★7.9%★

天皇賞(秋)で好走するにはとにかく速い上がりを使えることが条件だ。前走の上がり3ハロンタイムが4位以下だった馬は【3-6-7-82】だが、3~4歳の【1-5-5-24】に対し、5歳以上だと【2-1-2-58】。複勝率7.9%のこのデータを採用したい。

5つ目の条件で新たに消えたのは、ジナンボー、ダイワキャグニー、ブラストワンピースの3頭だった。

【今年の該当馬】
・(ウインブライト)
・ジナンボー
・ダイワキャグニー
・(ダノンプレミアム)
・ブラストワンピース

登録時点で12頭という少頭数になった今年の天皇賞(秋)。5つの消去条件をクリアしたのは、女王アーモンドアイと長距離王者フィエールマンの2頭だけ。馬券的にはこの2頭の馬連1点勝負になりそうだ。

【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。競馬との出会いはメジロマックイーンが勝った1990年菊花賞。その後、オルフェーヴルに魅了され今に至る。思い出のレースはトウカイテイオーが勝った1993年有馬記念とウイニングチケットが勝った1993年日本ダービー。


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