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【天皇賞(秋)】ダノンプレミアムは今回も2着?東大HCが東京芝2000mを徹底分析

東京芝2000mインフォグラフィックⒸSPAIA
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東京芝2000mの概要

今週は東京芝2000mを舞台に秋古馬三冠の口火を切る天皇賞(秋)が行われる。史上初となるGⅠ8勝がかかるアーモンドアイ以下、クロノジェネシスやフィエールマンなど7頭のGⅠ馬が顔を揃える豪華な一戦だ。このコースを舞台とする重賞は天皇賞(秋)と、2着までにオークスの優先出走権が与えられるGⅡフローラSがある。コースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは2015年10月31日〜2020年10月25日)。

まずはコース概要。1コーナー奥に設けられたポケット地点をスタートしてから間もなく2コーナーを迎えるため、外枠の馬は内に切れ込みにくく距離ロスが大きくなりやすい。向正面で上ったのち3コーナーに向かってなだらかな下りを通過、大ケヤキに迎えられる4コーナーを過ぎると最後の525.9mに及ぶ直線で高低差2mの坂が待ち受ける。末脚とスタミナの総合力が問われるチャンピオンコースだ。

32年間、天皇賞(秋)で勝てない3枠

枠別成績

<枠別成績>
1枠【30-25-23-154】勝率12.9%/連対率23.7%/複勝率33.6%
2枠【20-19-18-187】勝率8.2%/連対率16.0%/複勝率23.4%
3枠【21-22-26-191】勝率8.1%/連対率16.5%/複勝率26.5%
4枠【25-20-24-206】勝率9.1%/連対率16.4%/複勝率25.1%
5枠【23-24-25-225】勝率7.7%/連対率15.8%/複勝率24.2%
6枠【25-22-29-250】勝率7.7%/連対率14.4%/複勝率23.3%
7枠【23-32-24-287】勝率6.3%/連対率15.0%/複勝率21.6%
8枠【32-33-29-287】勝率8.4%/連対率17.1%/複勝率24.7%

1枠の好成績には目を見張るばかり。出走頭数は最少ながら30勝は最多で、単勝回収率は109%。1コーナーにおける有利に加えて道中もラチを頼りにできる点が強みだ。天皇賞(秋)でも昨年の勝ち馬アーモンドアイをはじめ近5年で3度の連対があり、今年の1枠1番ブラストワンピースにも期待が集まる。

全体成績ではイメージほど外枠の好走率が悪くないものの、こと天皇賞(秋)に限定すると高い壁が浮かび上がる。東京競馬場のコース改修を経た2003年以降の同レースにおいて8枠は【1-0-3-43】複勝率8.5%、複勝回収率19%だ。改修元年の2003年こそシンボリクリスエスが大外枠から快勝したものの、それ以降は16年連続で勝ち馬が出ていない。

また、輪をかけて相性が悪いのは3枠で、2003年以降では【0-0-4-28】と連対がない。最後に連対したのは1999年スペシャルウィーク復活劇の陰で2着を確保したステイゴールド、最後に勝ったのは1987年ニッポーテイオーまで遡る。今年はダイワキャグニーが入ったが果たして。

脚質別成績

<脚質別成績>
逃げ【30-24-19-131】勝率14.7%/連対率26.5%/複勝率35.8%
先行【79-80-69-474】勝率11.3%/連対率22.6%/複勝率32.5%
差し【70-58-74-599】勝率8.7%/連対率16.0%/複勝率25.2%
追込【19-34-36-572】勝率2.9%/連対率8.0%/複勝率13.5%

勝率などは逃げがトップではあるものの、単勝回収率106%・複勝回収率108%と他コースに比べれば落ち着いた数字。極端な穴馬が逃げ粘って妙味のある馬券を演出することは少なく、力のある馬でなければ馬券には絡めない。東京コース全体に当てはまることだが、脚質にこだわらず強い馬を素直に買うことが的中への第一歩だ。

天皇賞(秋)では近2年こそキセキ・アエロリットと逃げが連続で6番人気3着に食い込んでいるが、03年以降では【0-1-2-14】と微妙。むしろ差しの方が回収率は優秀で、「前走4角7番手以下」かつ「前走上がり3ハロン2位以内」に限定すると、同じく03年以降で単勝回収率139%を誇る。今年該当するのはカデナとスカーレットカラー。2週連続でノースヒルズの前田一族がGⅠを席巻するかもしれない。

天皇賞(秋)2着が多いディープインパクト

種牡馬別成績

<種牡馬別成績>
ディープインパクト【31-33-30-166】勝率11.9%/連対率24.6%/複勝率36.2%
ハービンジャー【13-8-15-73】勝率11.9%/連対率19.3%/複勝率33.0%
ヴィクトワールピサ【7-11-5-45】勝率10.3%/連対率26.5%/複勝率33.8%

種牡馬別ではディープインパクトが勝利数トップだが、複勝率ベースで見ると2位以下と大きく離れてはいない。天皇賞(秋)にも毎年のように怒涛の多頭出しを敢行するも、のべ41頭が出走して勝利は2014年のスピルバーグが唯一だ。一方、ディープインパクト産駒が出走した7レース中6レースで「2着」に入っているという不思議なデータもあり、好みの産駒を2着付けして馬券を買うのも一策だ。

巨漢馬ブラストワンピースを送り出すハービンジャーはクラスに関係なく堅実に走っており、ディープインパクトと遜色ない複勝率をマーク。17年のフローラSではモズカッチャン・ヤマカツグレースのワンツー決着を果たしている。ヴィクトワールピサ産駒も大健闘を見せており、単勝回収率110%は上記の2頭より高い。スカーレットカラーの激走に期待だ。

騎手別成績



<騎手別成績>
ルメール【35-19-16-42】勝率31.3%/連対率48.2%/複勝率62.5%
戸崎圭太【14-19-17-55】勝率13.3%/連対率31.4%/複勝率47.6%
福永祐一【9-4-3-23】勝率23.1%/連対率33.3%/複勝率41.0%
池添謙一【0-1-1-17】勝率0.0%/連対率5.3%/複勝率10.5%

未曾有の偉業に挑戦するアーモンドアイとコンビを組むルメール騎手が堂々の複勝率6割超え。「ルメール人気」がありながら単複ともに回収率90%台は十分優秀な水準で、3番人気以内の牝馬に限れば【8-4-4-3】複勝率84.2%まで上昇。自身も天皇賞(秋)3連覇へ向け視界良好だ。

ダノンキングリーに騎乗する戸崎圭太騎手、フィエールマンに騎乗する福永祐一騎手も3割台の連対率を誇る。戸崎騎手は重賞で【1-1-3-2】複勝率71.4%と安定感が随一で、福永騎手は単勝回収率127%が光っている。一方、池添謙一騎手は騎乗回数が少ないものの若干見劣る数字が並ぶ。またM.デムーロ騎手は【13-10-11-33】複勝率50.7%だが、13勝中11勝が3番人気以内でのものだった。

堀厩舎が複勝率59.4%

調教師別成績



<調教師別成績>
堀宣行【20-10-8-26】勝率31.3%/連対率46.9%/複勝率59.4%
国枝栄【13-9-10-38】勝率18.6%/連対率31.4%/複勝率45.7%
手塚貴久【6-6-4-20】勝率16.7%/連対率33.3%/複勝率44.4%

天皇賞(秋)に管理馬が出走する調教師では、堀宣行調教師が6割に迫る複勝率をマーク。特に昨年の3回開催からは【7-3-1-3】複勝率78.6%(しかも6着以下は一度もなし)と屈指の好成績をマークしている。16年モーリス以来の勝利を狙う今年は、伏兵ジナンボーで大波乱を狙う。

大本命馬アーモンドアイを管理する国枝栄調教師は、堀師に続く勝利数2位。天皇賞(春)連覇のフィエールマンを手がける手塚貴久調教師も好相性だ。なお中内田充正調教師は4度出走して【0-4-0-0】と珍しい結果。先述のディープインパクト2着データと相まってダノンプレミアムが5度目の2着を確保するかもしれない。


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