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【菊花賞】「4角10番手以下」はダンスインザダーク以降未勝利 東大HCが京都芝3000mを分析

菊花賞コース分析ⒸSPAIA
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京都芝3000mの概要

今週は牡馬クラシック最終戦、菊花賞が行われる。先週のデアリングタクトに続きコントレイルに無敗三冠の大偉業が懸かるほか、京都競馬場改修工事前最後のGⅠレースとしても注目が集まる。この舞台となる京都芝3000mについて分析していこう。現在このコースは年初の万葉Sと合わせて年間にわずか2レースの施行にとどまるため、使用するデータは1986年以降とする。

まずはコース概要。外回りコースが舞台で、上りになっている向正面の半ばをスタートする。200mほど走ると早くも3コーナーに差し掛かり、4コーナーへの下り坂を通過する。長丁場で距離ロスを避けたい上にインが良好な状態になることが多いため、枠順はもちろん馬自身の操縦性や騎手の手綱捌きで大きく着順が左右される。歓声を背に1周目ホームストレッチを通過すると、さらに外回りをもう1周。再び淀の代名詞である3~4コーナーの上り下りを経て最後の勝負を迎えるレイアウトだ。

「内枠の4択問題」

枠順別



<枠別成績>
1枠【9-9-7-90】勝率7.8%/連対率15.7%/複勝率21.7%
2枠【13-14-14-82】勝率10.6%/連対率22.0%/複勝率33.3%
3枠【14-12-7-93】勝率11.1%/連対率20.6%/複勝率26.2%
4枠【10-8-11-101】勝率7.7%/連対率13.8%/複勝率22.3%
5枠【8-10-15-102】勝率5.9%/連対率13.3%/複勝率24.4%
6枠【8-9-12-108】勝率5.8%/連対率12.4%/複勝率21.2%
7枠【12-14-16-133】勝率6.9%/連対率14.9%/複勝率24.0%
8枠【12-10-4-149】勝率6.9%/連対率12.6%/複勝率14.9%

前述した通り、菊花賞は内枠を引いた馬が自動的に本命候補となる。複勝率トップの2枠は2013年から5年連続で連対を果たし、1・2枠がともに馬券圏外に敗れたのは2007年〜2017年の11レースでわずか1度しかなかった(ビッグウィークが勝った2010年。4着レーヴドリアンが1枠2番だった)。枠順発表の段階で白帽と黒帽を確認し、レースセンスや騎手の腕を勘案して4頭から正解を見つけたいところ。

対照的に8枠はそれだけで消しの印を打ちたくなるほど相性が悪く、特に2007年以降の菊花賞では【0-1-1-37】と苦戦。致命的な距離ロスをカバーする工夫が求められるが、その難易度は非常に高い。18番枠に限れば07年以降掲示板に入ったのが18年のグローリーヴェイズのみ。香港ヴァーズを勝ち、天皇賞・春でフィエールマンと死闘を演じた同馬ですら5着がやっとだった。

脚質別



<脚質別成績>
逃げ【7-9-8-74】勝率7.1%/連対率16.3%/複勝率24.5%
先行【41-37-33-193】勝率13.5%/連対率25.7%/複勝率36.5%
差し【26-29-28-304】勝率6.7%/連対率14.2%/複勝率21.4%
追込【5-9-13-268】勝率1.7%/連対率4.7%/複勝率9.2%

全体の脚質別ではまず先行馬、次いで逃げと差し。先行馬は3枠より内に限ると複勝率が4割を超え、単勝回収率117%・複勝回収率110%と評価できる。菊花賞では先行・差しが3着以内をほぼ独占しており、終始前で運ぶか2周目の下りでじわじわとマクって先行集団に取り付くことが好走の絶対条件だ。

セオリーでは有利とされる逃げは、菊花賞に限れば【1-1-2-38】とほぼ残らない。期間内唯一の勝利は1998年のセイウンスカイ、その前はなんと1959年のハククラマまで遡る。3歳秋で淀の三千を逃げて好走するのは並大抵のことではない。また、4コーナー10番手以下で勝ったのもダンスインザダーク(12番手で通過)だけで、直線に賭けての追い込みはほとんど不可能と考えていい。

淀の三千が世界一うまい武豊

種牡馬



<2010年以降の種牡馬別成績>
サンデーサイレンス系【14-10-14-140】勝率7.9%/連対率13.5%/複勝率21.3%
その他【7-11-7-108】勝率5.3%/連対率13.5%/複勝率18.8%
ディープインパクト【3-3-3-27】勝率8.3%/連対率16.7%/複勝率25.0%
ルーラーシップ【1-1-0-5】勝率14.3%/連対率28.6%/複勝率28.6%

データの絶対数が少ないため種牡馬別ではっきりとした傾向は出てこないものの、出走頭数の多いサンデーサイレンス系が中心、さらにディープインパクト産駒は菊花賞で2015年から5年連続で馬券になっている。今年もコントレイル他有力馬の出走が予定されており、継続は確実だろう。

穴で狙えそうな馬のいるルーラーシップ産駒は2度連対している。バビットの父ナカヤマフェスタの産駒は1度しか出走していないが、19年万葉Sをヴォージュが勝利している。

騎手別



<騎手別成績>
武豊【13-6-9-35】勝率20.6%/連対率30.2%/複勝率44.4%
和田竜二【3-4-2-24】勝率9.1%/連対率21.2%/複勝率27.3%
福永祐一【2-4-2-29】勝率5.4%/連対率16.2%/複勝率21.6%
池添謙一【1-1-0-20】勝率4.5%/連対率9.1%/複勝率9.1%

騎手別成績ではスーパークリークからワールドプレミアまで菊花賞5勝を誇るレジェンド武豊がまず思い浮かぶものの、騎乗馬アンティシペイトは無念の除外。相性のいい他の騎手を探っていこう。

アルナスライン、ナムラクレセント、ポポカテペトルと菊花賞でたびたび人気薄を持ってきた和田竜二騎手も推奨。当然ながら単複回収率ともに100%超だ。コントレイルと同馬主のディープボンドに騎乗する今年は「ノースヒルズ丼」を演出してくれるかもしれない。

コントレイルと三冠を狙う福永祐一騎手は複勝率2割強だが、菊花賞では2013年以来【1-3-0-3】連対率57.1%をマーク。昨年も8番人気サトノルークスを2着に激走させており、心配は無用だろう。一方、ヴェルトライゼンデの池添謙一騎手は若干買い控えたいデータが並んでいる。

5戦連続馬券圏内中の友道師

調教師



<調教師別成績>
音無秀孝【3-3-2-11】勝率15.8%/連対率31.6%/複勝率42.1%
友道康夫【1-3-2-8】勝率7.1%/連対率28.6%/複勝率42.9%
国枝栄【0-0-0-6】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%

菊花賞に管理馬が出走する調教師では、音無秀孝調教師が最多の3勝をマーク。2008年の菊花賞をオウケンブルースリで勝った他、リンカーン、リアファルが好走している。目下連勝中かつルメール騎手を配したアリストテレスには注視しておきたい。

友道康夫調教師は京都芝3000mで17年菊花賞ポポカテペトル3着から、管理馬を5戦連続馬券圏内に導く離れ業を成し遂げている。今年の出走馬はヴァルコス。セントライト記念は出脚がつかなかったものの上がり最速で5着。距離延長歓迎のクチだろうし、母父にはダンスインザダークの名前も。快記録を6戦連続に延ばす可能性が高い。

菊花賞にサトノフラッグ、ダノングロワールを出走させる国枝栄調教師は現時点で馬券圏内がない。コントレイルの矢作芳人調教師は【0-2-1-6】で、菊花賞はリアルスティール2着、バンデ3着などの実績がある。


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