世代交代が色濃く出た全日本選手権
東京体育館で行われた体操の全日本選手権。男女ともに若手選手の台頭が目立ち、女子は優勝した笠原有彩をはじめ、決勝の1班、2班に入る上位12人が全員10代となった。
去年の上位陣である東京五輪メンバーは、日本女子初の五輪メダルを獲得した村上茉愛が去年引退。杉原愛子は膝の手術の影響で欠場、平岩優奈は腰痛などのため平均台とゆかのみ。21歳の畠田瞳と26歳の寺本明日香は今大会での引退を発表し、競技人生に幕を下ろした。
東京体育館で行われた体操の全日本選手権。男女ともに若手選手の台頭が目立ち、女子は優勝した笠原有彩をはじめ、決勝の1班、2班に入る上位12人が全員10代となった。
去年の上位陣である東京五輪メンバーは、日本女子初の五輪メダルを獲得した村上茉愛が去年引退。杉原愛子は膝の手術の影響で欠場、平岩優奈は腰痛などのため平均台とゆかのみ。21歳の畠田瞳と26歳の寺本明日香は今大会での引退を発表し、競技人生に幕を下ろした。
パリ五輪では中心選手になると思われていた畠田瞳。年齢は村上より4つ、寺本より5つ下の21歳。去年の世界選手権では個人総合予選で4位に食い込み、入賞なるかという中、決勝前日に得意の段違い平行棒で落下し、首に大けがを負った。
引退の理由について畠田は、「勝手に涙が出てきたり本当にしんどくなって…今まで簡単に出来ていた技ができなくなって心が折れた」と涙ながらに話した。妹の千愛は「全日本に出るだけで驚いたぐらいだ」という。
畠田が村上・寺本とともに「日本の3強」の一角だったことは下の成績を見れば明らかだ。
高校生だった2018年に全日本とNHK杯で3位に入り、世界選手権に出場して以降は安定して上位をキープ。2019年世界選手権では寺本とともに日本の主軸として東京五輪の団体出場枠獲得に貢献し、去年のNHK杯では女子選手の中で最高得点となる55.598をマークした(全日本選手権の得点を合算するため大会成績は2位)。
東京五輪選考会では3試合全てノーミスと抜群の安定感を誇り、団体戦ではトップバッターを任されることが多かった畠田。手足の長さを生かしたダイナミックな段違い平行棒を見ることができなくなってしまったのは残念だが、首のケガは怖い。これからという時に一線を退き、一番悔しいのは本人だろう。
今後はまず大学を卒業し、将来は指導者を目指すという。英語や海外の指導法を学ぶための米国留学、大学院への進学などを考えているそうだ。
引退会見ではすっきりした表情で「第2の人生を楽しんで歩んでいきたい」と話した畠田。監督として彼女のような選手を育てる日を楽しみにエールを送りたい。
16歳で臨んだロンドン五輪では個人総合11位、キャプテンとして出場したリオデジャネイロ五輪では体操の日本女子で52年ぶりの入賞となる個人総合8位に入った寺本明日香。
2019年世界選手権ではエース村上不在の中、キャプテンとして日本の団体戦出場権を獲得するも、翌年2月に左足アキレス腱を断裂。それでも「死ぬ気で頑張って取ってきた五輪の権利だから諦めない」と復活したが、今度は右足首の古傷が痛みだした。
東京五輪選考会で5位になり代表から漏れた時、「めっちゃすっきりしてます。10年間ここまでよくやったなって思う。本当に楽しかった」と話した寺本だったが、ここで引退するのではなく“補欠”として東京五輪に臨むことを選んだ。
「日本の主将から補欠になるなんて」と、引退することもできただろう。しかし「みんなをサポートできるよう精一杯頑張ることが私の使命」と、“最後の仕事“へ気持ちを切り替えたところに、寺本の強さが表れていたと思う。
今大会の会見でも、畠田が引退理由を話しながら涙する横で「瞳は本当に努力家で、絶対さぼらないのをずっと見ていた。今回の試合は楽しんでほしい」と、自分の話より先にまず仲間を励ました寺本。これほどまでに“仕事のできる強い補欠”はなかなかいないだろう。
引退会見では、「断捨離です」とトレードマークのポニーテールをばっさり。「社会貢献していきたい」と話した。畠田に送った「楽しんでほしい」という言葉をこれからの寺本自身にも送りたい。
内村航平、白井健三、村上茉愛、寺本明日香、畠田瞳。これだけの選手がこの1年で引退した。寂しい気持ちもあるが、橋本大輝とともに新たなニッポンを盛り上げてくれるスターの誕生に期待している。
《ライタープロフィール》
福田由香
NHK岡山キャスター、テレビ愛知アナウンサーを経て「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)で現場リポーターとして活動した経歴を持つ異色のライター。卓球初段。全日本社会人選手権、全国インカレ出場。学生時代は全国国公立大学卓球大会で数々の賞状を手にした。
【関連記事】
・五輪体操の日本人歴代金メダリスト一覧、内村航平ら33個獲得
・体操のオリンピック日本人女子メダリストは意外と少ない 銅メダルを獲得した7人とは
・体操ニッポン支えた名門、朝日生命が半世紀の歴史に幕を閉じた理由