日本人初、未知の領域世界2位にランキング松山英樹選手
2017年6月18日付け男子ゴルフ世界ランキング、松山英樹選手がそれまでの4位から2位に躍進した。同週に行われた全米オープンで、最終日66の追い上げを見せて2位タイに入った結果だ。
本人にしてみれば、世界ランキング2位のうれしさよりもメジャー初制覇を逃がした悔しさの方が大きかったに違いない。それでも世界ランキング2位は、かって日本ゴルフ界を牽引したAONでも誰一人なしえなかった快挙だ。青木功選手が8位、尾崎将司選手が5位、中嶋常幸選手が4位で終わっている。
松山選手が世界ランキングで初めてポイントを獲得したのが、2010年10月17日。日本オープンで3位に入ってランキング557位に着けている。それから7年、世界ランキングは松山選手の快進撃を正確に反映してくれた。
・2011年4月10日マスターズ27位タイでローアマを獲得して450位まで上昇。
・2011年11月13日に三井住友VISA太平洋マスターズで優勝すると196位まで上昇した。
・国内賞金王に輝いた2013年は年初の128位から年末には23位へと凄まじい上昇を見せた。
・2014年アメリカツアー初優勝となったザ・メモリアルトーナメントで13位まで順位を上げる。
・2016年10月23日、日本オープンを制し10位、10月30日にはWGCHSBCチャンピオンズも制して6位とベスト10に顔を出した。
2017年は、2月5日のウェイストマネジメント フェニックスオープンでアメリカツアー4勝目を挙げると、ランキングも5位に上昇、5月14日発表のランキングでは、日本人最高の3位を経験していた。
683週世界ランキング1位タイガー・ウッズ選手
男子ゴルフ世界ランキングはこれまでにいろいろな修正がなされたが、1986年に発表されたソニーランキングが最初だ。
初代のランキング1位は西ドイツのベルンハルト・ランガー選手で、2代目スペインのセベ・バレステロス選手、3代目オーストラリアのグレグ・ノーマン選手とそうそうたるレジェンドたちの名前が続いている。その中でも、特筆すべきは1997年ランキング1位を極めたタイガー・ウッズ選手だろう。
タイガー・ウッズ選手は1997年6月15日に初めてのランキングトップを獲得、2014年5月11日が最後のランキング1位だった。実に17年間も世界ランキング1位を争ったことになる。この間、連続1位は281週と5年間にわたり、合計では683週世界ランキング1位に君臨した。ツアーの戦績もこれに見合うもので、アメリカツアー79勝、メジャー優勝14回と群を抜いている。
2015年、2016年と怪我に泣かされ、2017年もリハビリに取り組んでいるようだ。焦らずにじっくり怪我を治して世界ランキング1位のプレーを、ファンの前に見せてほしい。
ヨーロッパツアー期待の星ロリー・マキロイ選手
タイガー・ウッズ選手の登場以降一番長くランキング1位の座を保持したのは、ロリー・マキロ選手だ。
2012年3月4日アメリカツアーのザ・ホンダクラシックで優勝して、世界ランキング1位の座を獲得、合計95週間保持した。
ロリー・マキロイ選手は1989年生まれ北アイルランド出身。当時22歳と若くヨーロッパツアー期待の星だった。2011年のマスターズでは初日から3日目まで首位を独走し、最終日80を叩く若さも見せるが、全米オープンでは初日から首位に立ち大会史上最少スコアで完全優勝を果たすなど、魅力いっぱいの若者だった。
その後2012年と2014年の全米プロゴルフ選手権と2014年の全英オープンで優勝し、メジャー4勝。2016年にはアメリカツアーの年間王者になるなど活躍を見せるものの、2015年9月13日を最後にランキング1位を陥落すると、以降2017年23週までは1位には復帰していない。
その間常時5位以上を維持し2017年6月18日時点では松山選手に次ぐ3位に着けている。
欠場した週にランキング1位へアダム・スコット選手
2014年5月18日タイガー・ウッズ選手の世界ランキング1位の座にピリオドを打ったのが、オーストラリアのアダム・スコット選手だ。
2013年マスターズに優勝、世界ランキングを3位まで上昇させると、8月25日にはザ・バークレイズで優勝を果たし2位に上昇、1位の座をうかがっていた。
2014年になると1位のタイガー・ウッズ選手は欠場が続く。アダム・スコット選手の成績次第で1位の座につける試合が続いたが、思うような結果は出せなかった。5月11日に行われたザ・プレーヤーズ選手権では16位以上に入れば1位だったが38位タイに終わり、2位のままだった。
次週のHPバイロン・ネルソン選手権には出場しない。しかしここで奇妙な現象が起こる。ランキング1位と2位の当事者がどちらも欠場の週に、ランキング順位が入れ替わったのだ。
ランキング対象から消えるポイントや減らされるポイント、平均ポイントの関係で起こった現象だが、アダム・スコット選手にしてみれば、好成績を出して世界ランキング1位の座を獲得したっかったに違いない。皮肉なことに翌週出場したクラウンプラザインビテーショナルでは、プレーオフを制して優勝するおまけまでついていた。
群雄割拠、目が離せなくなった世界ランキング1位争い
2015年8月16日、アメリカ人待望の世界ランキング1位が誕生した。1993年生まれ、当時22歳のジョーダン・スピース選手だ。
タイガー・ウッズ選手以降は、1999年にデビッド・デュバル選手が登場して以来のアメリカ人世界ランキング1位選手だった。2015年はマスターズに優勝して2位まで順位を上げると、メジャー2戦目全米オープンにも優勝、ランキング1位のロリー・マキロイ選手との差を縮めた。
続く全英オープン4位タイ、全米プロゴルフ選手権では2位に入り、ついに世界ランキング1位に上り詰めた。その後はロリー・マキロイ選手との1位争いに、オーストラリアのジェイソン・デイ選手を加えた戦いとなったが、ツアー選手権byコカ・コーラを制したジョーダン・スピース選手が一歩抜け出した。
しかしジョーダン・スピース選手も2016年3月27日にはジェイソン・デイ選手にその座を明け渡す。そして2017年2月体調不十分のジェイソン・デイ選手に代わってダスティン・ジョンソン選手が1位に着いた。
ダスティン・ジョンソン選手も、6月のザ・メモリアルトーナメントと全米オープンに連続予選落ちと安定感に疑問が残る。そんな中、全米オープンではそれまでの世界ランキングトップ3が揃って予選落ち、先行きに不安を残した。
6月18日付けランキング上位を見渡せば、かってのランキング1位経験者が上位にとどまり2位松山選手を筆頭に、頂点を狙っている。世界ランキング1位争いが面白くなってきた。