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ウッズは見納め?ゴルフの「聖地」セントアンドルーズ、世界最古の魅力と歴代優勝者

2022 7/19 06:00田村崇仁
帽子を取って声援に応えるタイガー・ウッズ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

第150回全英オープンはキャメロン・スミスが初V

ゴルフの「聖地」といえば、世界の名だたるトップ選手にとっても憧れの舞台である英国北東部スコットランドのセントアンドルーズ・オールドコース。世界最古の1552年にゴルフ場として認可され、海に面したリンクスコースは気まぐれな風と雨が特徴的だ。自然の形を生かした「神と自然が創り出したコース」とも呼ばれている。

男子ゴルフの今季メジャー最終戦、全英オープン選手権は7月14日まで7年ぶりにゴルフ発祥の地とされる「聖地」セントアンドルーズ(7313ヤード、パー72)で開催され、28歳のキャメロン・スミス(オーストラリア)が最終日8バーディー、ボギーなしの64をマークして通算20アンダーの268でメジャー初優勝を果たした。

優勝賞金は250万ドル(約3億5000万円)。2000年にタイガー・ウッズ(米国)が記録した通算19アンダーの大会コースレコード記録を更新した。

今回は150回の記念大会でもあり、日本勢は桂川有人が通算5アンダーの47位、松山英樹は通算2アンダーで68位にとどまった。

「聖地」での優勝者はウッズら、日本勢最高は青木功の7位

「ゴルフの聖地」での歴代全英オープン優勝者を振り返ると、印象深いのは2000年と2005年大会で「コース2連覇」を達成したタイガー・ウッズだろう。1990年以降は原則5年ごとに開催され、ウッズは2005年大会の優勝でメジャー4大会すべて2勝以上の「ダブル・グランドスラム」も達成している。

1990年大会は地元の英雄ニック・ファルド(英国)、1995年大会は暴れん坊のジョン・デイリー(米国)、2010年大会はルイ・ウェストヘーゼン(南アフリカ)、2015年大会はザック・ジョンソン(米国)が栄冠を手にした。

日本勢は1978年大会で青木功の7位が最高。この大会の優勝者は「帝王」ジャック・ニクラウス(米国)だった。

難攻不落の「トミーズバンカー」

筆者もプライベートでコースを回った経験があるが、世界最古の「聖地」は魅力と厳しさにあふれている。起伏のあるフェアウエーとグリーンとともに、最も困難なのはやはり110個を超える名物のポットバンカーだろう。

1978年大会の17番ホール(パー4)で中嶋常幸がグリーン手前の深いポットバンカーにはまり、このホール「9」をたたいて優勝争いから脱落したことは今も語り継がれる。脱出にかかったのは実に4打だった。このバンカーは中嶋の愛称「トミー」から「トミーズバンカー」とも呼ばれる。

今大会はアマチュアの中島啓太(日体大)が17番で通称「トミーズバンカー」に第2打を入れたが、深いバンカーから何とか脱出してパーセーブした。

予選落ちのウッズは「戻ってこられるか分からない」

今大会、通算9オーバーで予選落ちしたタイガー・ウッズは18番ホールの花道を歩きながら涙を見せ、キャップを取って大歓声と拍手に応えた。

1番と18番を流れるクリークに架かる石橋は「スウィルカン・ブリッジ」と呼ばれ、多くの人が記念撮影する「聖地」の名物でもある。ウッズは古代ローマ軍によって架けられたといわれるこの石橋を渡りながら今大会、何を思ったのか。

2021年の自動車事故から復帰し、2022年のマスターズは脚を引きずりながら回って47位。欧米メディアによると「引退はしない」と明言したものの、最も好きなコースの一つで失意の結果に終わり「今は18ホール歩くだけでも体力的にきつい。来年以降も計画は何も決まっていない」とコメント。

「この大会の伝統は心からリスペクトしている。ファンの大歓声は温かく、信じられないほど素晴らしい気持ちになった。過去にジャック(ニクラス)やアーノルド(パーマー)がどんな気持ちになったのか理解できた気がした。感情的になったのは、またここに戻ってこられるかどうか分からないから」と語り、ゴルフの「聖地」でのプレーが最後になる可能性も示唆した。

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