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渋野日向子、米ツアールーキーイヤー序盤で見られた確かな成長

2022 4/15 06:00akira yasu
女子プロゴルファーの渋野日向子,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

4試合でトップ10が2度

今季から正式メンバーとして米ツアーを戦っている渋野日向子が、開幕してから47位、8位タイ、72位タイ、4位タイと上々のスタートをきった。4位タイに入ったメジャー、シェブロン選手権では単独首位で決勝ラウンドに進み、2019年全英女子オープン以来の海外メジャー2勝目を期待させた。

これまでの成績と比較すると向上していることがわかる。予選落ちが2021年まではあったが、今季はまだ一度もない。また、2021年までで、米ツアーでトップ10に入ったのは、優勝した全英女子オープンと、最終日の終盤まで優勝争いに加わった2020年の全米女子オープンの二度だけ。2021年は8試合出場して一度もなかった。それが今季はすでに二度トップ10入りを果たしている。

予選落ちの確率が下がり、トップ10の確率が上がったことは、米ツアーでの戦いに慣れてきたことも含めて成長していると見てよいのではないだろうか。

渋野日向子 米ツアー成績,ⒸSPAIA


SG:アプローチ・ザ・グリーンが2位

これまで取り組んできた肉体改造やスイング改造の成果が表れ始めたのだろう。浅く低いコンパクトなトップオブスイングなどのスイング改造箇所とフィジカルがフィットしてきたようだ。

ニュースイングのメリットである、フェースの向きのコントロールのしやすさや、レベルブローインパクトによるスピン量コントロールのしやすさを活かしている。また、ニュースイングはクラブの助走距離が短くなる分、インパクト時のヘッドスピードが落ちやすいが、強くなったフィジカルがそのデメリットを打ち消している。

ドライバーショットの飛距離も方向も向上。今季(4月3日時点)の飛距離は、2019年シーズンから約9ヤード伸びており、フェアウェイキープ率は2019年シーズンから約3%上がっている。

そして、ドライバーショットの精度向上をパーオン率につなげることに成功。今季パーオン率では11位につけている。SG(ストロークゲインド):アプローチ・ザ・グリーン(※)は2位。グリーンを狙うショットで、世界トップレベルの精度を誇っているのが今季序盤の渋野だ。

※パー3のティーショットやパー4の2打目など、グリーンを狙うショットで稼いだ打数

渋野日向子 ショットのデータ,ⒸSPAIA


ルーキーオブザイヤーとメジャー2勝目に向けて

渋野は周囲が期待する活躍を見せられないでいたが、昨季の日本ツアーの終盤では約2年ぶりに優勝。さらに1勝し、計2勝を挙げるなど光が差し始めていた。

そのいい流れを維持して米ツアー予選会を突破しシーズンインとなった渋野は、ルーキーオブザイヤーのポイントランキングで2位につけている。同賞受賞者には錚々たる名前が並ぶ。リディア・コ、コ・ジンヨンなど、メジャーチャンプで米ツアーの顔となっている選手たちばかりだ。一生に一度しかチャンスがないタイトルに向けた戦いに注目したい。

米ツアールーキーとはいえすでにメジャーチャンプの渋野。メジャー2勝目の期待も膨らむ。今季序盤のプレーを見る限り、これから数多く米ツアーで渋野が躍動する姿を見ることができそうだ。

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