「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【女子ゴルフ】韓国旋風の次は日本旋風か 米女子ツアーで高まる日本人選手の存在感

2022 6/11 06:00akira yasu
渋野日向子,Ⓒゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

米女子ツアーで活躍する日本人選手

米女子ツアーで日本人選手の活躍が目立つようになってきた。

4月21日から24日に開催されたDIOインプラントLAオープンでは、米ツアートップ選手の一人として認知されている畑岡奈紗が通算6勝目を挙げた。また、米ツアールーキーイヤーを戦っている渋野日向子は、優勝争いに加わる試合もあるなど、序盤戦は期待通りの活躍を見せた。ここ3試合(6月5日時点。日本凱旋試合含む)は予選落ちしているものの、早くも米ツアーで来季のシード権を当確させている。

渋野と同様、今季がルーキーイヤーとなる古江彩佳は抜群の安定感を見せている。今季初戦から9戦連続予選を通過し、10戦目となったバンク・オブ・ホープLPGAマッチプレーでは決勝まで残り2位。6月2日から5日に開催された全米女子オープンは予選落ちしたが、今の調子が続けば米ツアー初優勝は遠くないと感じさせるプレーぶりだ。

昨季全米女子オープンを制覇し、東京オリンピック後に日本国籍(東京オリンピック時は二重国籍でフィリピン代表として出場)となった笹生優花は、好不調の波が大きいようだ。しかし予選落ちはあるものの、予選を通過した試合ではトップ10かトップ10をうかがわせる順位で終えている。4位につけているドライビングディスタンスを武器に、14位の世界ランキングをどこまで上げられるかに注目だ。

長く米ツアーを席巻する韓国人選手

米ツアーでは韓国人選手が長く存在感を示してきている。現在、日本ツアーで活躍している申ジエ、チェ・ナヨンやパク・インビ、コ・ジンヨンが歴代の賞金女王に名を連ねているだけでなく、チョン・インジ、キム・セヨン、イ・ジョンウン6、キム・ヒョージュら多くの韓国人選手がメジャーチャンピオンになっている。また、東京五輪にも世界ランキング上位者が多い韓国からは、規定最大人数だった4名が出場した。

しかし、そういった一部のトップ選手だけが強いというわけではない。世界ランキングトップ100には30名の韓国人選手がランクインしている。渋野が優勝争いに加わった2019年の全米女子オープンで、まだ無名だったキム・アリムが優勝したこともトップクラス選手の層の厚さを表している。

2019年と2020年の米ツアー賞金ランキングのトップ3は韓国人選手が独占したが、2021年は11年ぶりの海外メジャー未勝利に終わり、東京オリンピックではメダルが獲得できなかった。このことから『米女子ツアー、韓国の時代の終わり』といった言葉も囁かれた。たった1シーズン、メジャー無冠に終わっただけでこのように言われるということは、これまでのチーム韓国がそれほど圧倒的存在だったということだろう。

あり得る、パリ五輪女子日本代表4人

日本ツアーには来季以降、米ツアー挑戦に意欲を見せている選手が多くいる。

昨季賞金女王の稲見萌寧や今季賞金女王へ向け突き進んでいる西郷真央は、今のところ米ツアーを主戦場にするつもりはないようだが、過去の渋野がそうだったように時間が経つにつれ気持ちが傾く可能性もある。

現時点で世界ランキングトップ100に入っている日本人選手は18名。そのうちトップ50に7名、トップ20に4名ランクインしている。パリ五輪で世界ランキングをベースにしたオリンピックゴルフランキング15位以内に最低4名ランクインすれば、東京五輪の韓国同様“代表選手が4名”という状況も作り出せる勢いが今の日本人選手にはある。

仮にパリ五輪代表4名を想定した場合、現時点の上位4名は、畑岡、笹生、西郷、稲見。この面々に古江や渋野らが割って入る形になる。すでに錚々たる顔ぶれだ。

日本ツアーで経験と実績を積み重ねた選手が続々と米ツアーへ挑戦し活躍するようになれば、チーム日本が今のチーム韓国並みの存在感を発揮するようになるかもしれない。そうなれば、日本ツアーで米ツアー志向の選手が増えたり新しい選手を育てやすくなるなど、好循環が生まれる。日本女子ゴルフの発展はまだ続きそうだ。

【関連記事】
渋野日向子、米ツアールーキーイヤー序盤で見られた確かな成長
女子ゴルフ界のシューズ「NN戦争」王者ナイキを稲見萌寧も使うニューバランスが猛追
ラフはフェアウェイと何が違う? ラフから方向と距離を合わせる方法とは【ゴルフハウツー】