「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ジャンボ尾崎の指導方針とは?原英莉花、西郷真央ら勝てる女子プロゴルファーを次々育成

2022 5/26 06:00田村崇仁
尾崎将司,Ⓒゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

通算優勝回数113回を誇るレジェンド

男子プロゴルフ界でジャンボ尾崎と言えば、プロ通算優勝回数113回を誇る超一流ゴルファーとして有名なことは言うまでもない。世界ゴルフ殿堂入りも果たしている75歳のレジェンド、尾崎将司は今もなお現役にこだわりながら、近年は女子プロゴルファーを「勝てるトップ選手」に育て上げる指導者としても高い手腕を発揮している。

ツアー通算4勝で人気選手に成長した23歳の原英莉花はメジャー大会で勝負強さが光り、豪快なドライバーショットと華のあるプレースタイルでファンを引き付ける。

5月22日のブリヂストン・レディース(千葉県袖ケ浦)で今季5勝目を挙げた20歳の西郷真央は地元千葉の「ジャンボ尾崎アカデミー」の1期生。笹生優花、山下美夢有と同じ「新世紀世代」でジュニア時代から万能型の選手として頭角を現し、師匠のジャンボ尾崎からは「ゴルフ頭脳」を評価されて「西郷どん(セゴドン)」と呼ばれる。

昨季は2位が実に7回。今季は開幕から7戦で4勝を挙げた後、2試合連続で予選落ちしたが、師匠の尾崎将司に指導を受け、スイング修正と勝負師の姿勢をたたき込まれた。

2021年の全米女子オープン選手権を初制覇した笹生も父との二人三脚で育ったが、プロテスト合格後はジャンボ尾崎の門下生として腕を磨く。

育成哲学は練習量、ジャンボ軍団の女子部

21年2月、尾崎将司は主宰する「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」の入会セレクションを報道陣に公開。千葉市内にある自身の練習場で4日間実施し、中学から高校生の約30人が参加した。

300ヤード近い広大なショット練習場で打たせ、門下生のスイングや球筋を見極めるのがジャンボ流。大切にする育成哲学は練習量でパワーの土台となる素振りを重視する。

かつてジャンボの薫陶を受けた男子プロは「ジャンボ軍団」と表現され、男子ツアーを席巻。弟の尾崎健夫(ジェット)、尾崎直道(ジョー)、飯合肇(コング)、羽川豊、金子柱憲、伊沢利光ら個性派のトッププロで構成され、 1970年代~1990年代にかけて一時代を築いた。

その系譜を受け継ぐ原や笹生、西郷らはジャンボ軍団のいわば「女子部」でもある。身長173センチの原はパワフルなショットながら粗削りで成績は安定しなかったが、ジャンボ尾崎に弟子入りしてその才能が開花した形だ。

「目で見て、自分で考える」教え

ジャンボ尾崎が自らの「ジャンボ邸練習場」の施設をジュニアに開放し、将来を担う選手を育てるのはゴルフ界に恩返しをするためでもある。

教えの根底に流れるのは「目で見て、自分で考え、自分のものにする」という哲学。ジャンボ軍団の時代から高いレベルで切磋琢磨して勝負強さを身につけた背景がある。

日本ゴルフ界の未来を担う女子プロの指導も時には厳しくても、長所は褒めて伸ばすスタイルだ。基礎体力やフィジカルを大切にし、手取り足取りで型にはめ込むのではなく、自分で考える力を育てる方針。そんな環境での熱血指導が勝てるトップ選手を輩出している。

【関連記事】
「終わるまでジャンボ」「死ぬまでカズ」 尾崎将司と三浦知良の共通点とは
渋野日向子、米ツアールーキーイヤー序盤で見られた確かな成長
プロゴルファーの所属契約とスポンサー契約の違いとは?稲見萌寧が楽天にもたらすメリット