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男女ともに低年齢化進むプロゴルファー 来年アマチュア規定変更で傾向に変化も

2021 12/22 11:00akira yasu
金谷巧実と中島啓太,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

若くして頭角を表すのは高卒か大卒か

男子ツアーの日本シリーズJTカップ終了をもって日本の男女ツアー全日程が終了した。女子はミレニアム世代の活躍が目覚ましく、男子でも女子黄金世代と同学年の金谷巧実の賞金王争いや、2002年生まれの久常涼がプロとして旋風を巻き起こすなど、若い世代が頭角を表してきている。そのため、初シード獲得者はツアー制度施行後、3番目に多かった。

このように若くして頭角を表す選手は、高校時代から実績を積み重ねているが、高校卒業後、大学進学と即プロ(志望)とでは、どちらの方が多いのだろうか。

男女ツアーのシード選手の出身校を調査したところ、男子のシード獲得は賞金ランキング65位までで、大卒が45名、高卒(中卒、不明含む)が20名。大卒のうち、東北福祉大学出身が13名、日本大学出身者が11名と、大学ゴルフ界の2強の勢力図が浮き彫りになった。

一方、女子は賞金ランキング50位まで(メルセデスランキング50位までも含まれるが賞金ランキングのみ調査)で、大卒が16名、高卒が34名だった。

男子は大学を経てプロになった者が多く、女子は高校卒業後即プロになった(志した)者が多い。これだけを見ると、女子の方が平均年齢が低くなると思われるが、実際どうなのだろうか。

調べてみると、女子が27.6歳(11月21日時点)、男子が32.3歳(12月5日時点)だった。高校卒業後即プロ傾向の女子の方が早くから活躍しており、それがシード選手の平均年齢の差にも表れていた。

2020-2021シード選手大学 出身者と高校出身者の数,ⒸSPAIA


第一線で活躍する選手の低年齢化

最近では、子供がいる若林舞衣子(33歳)の優勝や、今季後半に2勝を挙げた谷原秀人(43歳)など、ベテランの頑張りも目立つ。しかしその反面、2019年から女子のプロテスト受験資格は18歳から17歳に引き下げられ、男子のプロ予備軍にはアマチュアで優勝した大学3年生の中島啓太など若い選手が控えているなど、第一線で活躍する選手の低年齢化が進んでいる。

さらに2022年からはアマチュア規定が変更になり、アマチュアでもスポンサー企業と契約できるようになった。有望な高校生ゴルファーは“卒業後は即プロ”ではなく、スポンサーの支援を受け、じっくり実力と自信をつけながらプロを目指せるようになったのだ。これは今後、「高卒でプロを目指すか、大学へ進学するか」といった進路の選択にも影響するだろう。

来年以降、これまで通り低年齢化が進むのか、それとも有望な高校生ゴルファーの大学進学などプロ転向を急がない選択が増えるのか、注目していきたい。

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