2021年度プロテスト
11月2日~5日に京都の城陽カントリークラブで、2021年度の最終プロテストが実施された。晴れて合格となった20位タイまでの21名が、これから日本女子プロゴルフ協会の正会員としてツアーの予選会や、ステップアップツアー、レギュラーツアーに挑戦することが可能になった。
最終プロテストは、1次予選(3日間)と、2次予選(4日間)を通過した者だけが受験できる。すべてのステージがプロの試合同様、1日18ホールのストロークプレーで、3日間の場合は54ホール、4日間の場合は72ホール勝負となる。
今回は1次が5会場、2次が3会場で行われた。各ステージ、各会場ごとに定められた人数の上位者が次のステージに進む。(※各ステージに受験資格要件が設けられており、アマチュア時代の成績優秀者などは2次や最終から受験できる場合がある)
「プロテストは独特の雰囲気」。これは受験した多くの選手の言葉だ。実績があり、合格が確実視されている選手でも、その雰囲気にのまれて不合格になることがある。合格しても「プロテストは2度と受けたくない」と漏らす選手がいるほど、過酷を極めるのがこのプロテスト。今回もその過酷さを物語る結果となった。
梶谷翼、髙木優奈が不合格
梶谷翼はナショナルチームに在籍し、今年、マスターズの会場で行われる「オーガスタ女子アマ」で優勝した。世界アマチュアランキングは6位(11月3日時点)となっており、実績から見て合格が確実視されていたが、結果は不合格だった。
10月31日時点で女子ツアー賞金ランキング56位だった髙木優奈は、今回4度目の受験となったが、1打足りずに不合格となった。
髙木は2019年のステップアップツアーで優勝し、その権利でツアー予選会に出場。そこで好成績をあげ、今季(2020-2021)レギュラーツアー出場権を獲得していた。しかし、予選会の出場資格の規定が変わったことで、プロテスト不合格により、今季の戦いでシード権を獲得しなければ、来季は予選会にも出場することができない。
アマチュア界で世界トップレベルの選手でも、シード権を争うツアー選手でも、合格できるとは限らないのが、プロテストなのだ。
渋野日向子は一度不合格、稲見萌寧はギリギリ合格
渋野日向子は、2017年に受験した初めてのプロテストは4日目に進むことすらできずに(3日目でカット)不合格で、2018年に合格。そして2019年に全英女子オープンを制した。
東京オリンピック銀メダリストで現在賞金女王争いをしている稲見萌寧は、渋野と同じ2018年に合格。最終日最終ホールの約3メートルのパットを沈めての合格で、もしそれを外していたら不合格となっていた。
大差で不合格の約2年後に世界メジャーチャンプ。ギリギリ合格の約3年後にオリンピック銀メダリストと賞金女王争い。それらは選手のポテンシャルの高さや成長の早さによるものが大きいが、プロテストのレベルの高さも表しているのではないだろうか。
ジュニアのレベルが向上 プロテストはよりハイレベルに
日本の女子ゴルフは、黄金世代やミレニアム世代などの活躍に象徴されるように、若手の台頭が著しい。ジュニア時代からプロの試合で好成績を挙げている選手もいれば、短期間で急成長する選手もいる。
2019年から受験できる年齢が18歳から17歳に引き下げられた。プロになり得るポテンシャルを持つジュニアが各年代に多数いることを踏まえると、それまでよりも厳しいサバイバル競争となることが予想される。
「不合格だったら次は1年後」。そのプレッシャーと戦うプロテストは、テストであると同時に鍛錬の場にもなる。プロテストならではの雰囲気の中プレーし、プレッシャーに打ち勝つことで、ツアーで戦う時にもひるむことなくコースやライバルに立ち向かっていくことができるのだろう。
【関連記事】
・賞金ランクトップに肉薄の古江彩佳 理想的なスイングプレーンでイーグルを量産
・池ポチャ年6万球の怨念?賞金女王争い佳境で迎える難コースを制するのは
・渋野日向子、米ツアー本格参戦へ視界良好 スイングと肉体「改造」の結実