全米女子オープンで日本人同士のプレーオフ
笹生優花と畑岡奈紗の日本人選手同士のプレーオフとなった全米女子オープン(6月3日~6日開催)では、3ホール目でバーディを奪った笹生が勝利した。ハードなコースセッティングにも上手く対応した2人のように、早い段階でアメリカならではのセッティングを経験することは大切だ。
通常、USGA(全米ゴルフ協会)主催の競技は「フェアウェイが狭くラフが長い」などハードなコースセッティングが多い。そのため、主戦場が日本女子ツアーの選手が海外メジャーに挑戦しても上位に入ることは難しい。今年の全米女子オープンのように、長くて粘り気のあるラフにボールを入れてしまうと、出すだけで精一杯になってしまう。
10代で吸収する粘り気のある長いラフへの対応力
笹生の主戦場は日本だが海外試合の経験も多く、USGA主催競技の全米女子アマやUSガールズジュニアで上位に入ったこともある。いずれもハードセッティングが多い大会だ。
また、アマチュア時代に拠点としていたフィリピンのゴルフ場は、ティフトンなどボールが沈む粘り気のあるやっかいな芝が多かった。こういった環境下での経験により、ラフの対応力に磨きがかかったのだろう。
一方、畑岡はアマチュア時代から既に全米女子アマを含め世界を経験していた。高校卒業後に日本ツアーを経ず米ツアーに挑戦した理由は、世界で一番になるには少しでも早く米ツアーに挑戦するべきだと考えたからだ。そして、これまで米ツアーで3勝している。10代の頃から過酷なコースセッティングのツアーを主戦場にしていたことが、ラフの対応力を含むスキルアップに繋がったのだろう。
全米女子オープンで優勝を争った選手のフェアウェイキープ率を見ると、笹生と畑岡は高くない。にもかかわらず2人が優勝を争ったのは、ラフの対応力が関係していると思われる。
ラフが難しくない日本のゴルフコース
野芝が多い日本のコースはボールが浮きやすく、ラフからのショットもそれほど難しくない。また、プロトーナメントでもラフを長く伸ばすことは少ない。そのため、ヘッドスピードが速いとフェースとボールの間に芝が挟まりスピン量が減るためフライヤーになる(飛びすぎる)ことはあるが、飛ばすのが困難ということはない。
つまり、日本のコースセッティングにしか対応できないスキルなら、今回の全米女子オープンには到底太刀打ちできない。事実、米ツアーに挑戦したものの志半ばで日本ツアーに戻ってきた選手もいる。世界で戦い結果を出すためには、できるだけ早くにハードなセッティングに慣れ対応力を磨くことが必要なのだ。
それを身に付けることができれば、日本人女子選手のメジャー優勝が特別なことではない時代が来るかもしれない。
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