ダイヤモンドカップゴルフ ドライビングディスタンストップ5の内4名が学生アマ
5月14日~17日に開催されたアジアパシフィックダイヤモンドゴルフ。4日間計測された3番と11番ホールのドライビングディスタンスは、上位5名のうち4名が大学生アマチュアだった(他1名はプロの石川遼)。
飛距離でアマがプロを凌駕するのは、これが初めてではない。
2017年の関西オープン。当時高校3年の杉原大河が出場し、4日間平均のドライビングディスタンスでは318.25ヤードを記録し3位。2019年の三井住友VISA太平洋マスターズでは当時大学1年の中島啓太が4日間平均のドライビングディスタンスで301.9ヤードで、こちらも3位に入った。
昨年の日本オープンでは、河本力が600ヤードを越えるパー5で第2打を大きくグリーンオーバーさせた。これを見たテレビ解説の羽川豊氏があきれるように笑ったことが、1打目と2打目の合計飛距離のすごさを物語っている。この日本オープンでは河本と杉原が優勝争いに加わり、ともに5位タイだった。
ギアの進化
大学生アマの飛距離が出る理由としてギアの進化が挙げられる。クラブヘッドのスウィートスポットが広く、次々と開発される革新的なテクノロジーによって飛距離を出せるようになった。これは、中堅やベテランを含めたプロにも同じことが言えるが、ポイントはこの恩恵をジュニアの早い段階から受けていたということにある。
現在、トップアマとして活躍している大学生アマの多くは、ジュニア期からクラブメーカーからのサポートを受けていることが多い。よって、その時のスイングや体力に合ったクラブを使用しながら練習を積むことが可能だ。
進化を続けるテクノロジーとクラブフィッティングの融合により、インパクトの良し悪しを気にせずに振りぬくことができる。少々打点やフェースの向きがずれてもテクノロジーがカバーしてくれるため、インパクトで躊躇なくクラブヘッドを加速させるために必要なことを自然と身につけてきたのだ。
また、ゴルフを始めた時から、体力やスイングに合っているクラブを使うことができたことも大きいだろう。ダイヤモンドカップでドライビングディスタンス上位5名の中に入った4名がゴルフを始めたのは5才~9才。15年ほど前はすでに小学校低学年用の長さや重さのクラブが豊富になってきており、それを使用することができた。
フィジカル強化
河本は高校時代に、ランニングやウェイトトレーニングに励み、30キロ体重が増え、飛距離が数十ヤード伸びたようだ。
タイガー・ウッズの登場などによりプロゴルファーのアスリート化が加速。ゴルファーのフィジカル強化に関する情報やエビデンスが豊富になってきた。これらの知識を早い段階で吸収し、実行につなげたことが昨今の結果につながっている。
現在の大学生アマが高校入学した頃というのは、松山英樹が米ツアーを主戦場にした頃と重なる。年々体が大きくなり、米ツアーで確固たる地位を築いていく先輩を見て、強くなるために必要なことを感じとってきたことも大きいだろう。
海外志向
多くの大学生アマは海外志向が強い。目標とする舞台の米ツアーで活躍するためには、飛距離は「あれば有利」というよりも「あるのが前提」の時代になってきた。米ツアーでの、ドライビングディスタンスの「ツアー平均」と「300ヤード越えの人数」を2000年、2010年、2020年で比較するとそれは明らかだ。
以前は、300ヤード以上飛ばせば飛ばし屋だった。しかし、昨今は300ヤード以上は当たり前、となってきている。トーナメント開催コースの全長も増してきており、これまで以上に「技」だけでは戦えなくなってきている。
強い海外志向。そして松山英樹(東北福祉大学卒)のマスターズ優勝。「いつか俺も」と世界基準の飛距離を叩き出す男子選手のさらなる活躍に期待したい。
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