スコアメイクのポイントになるトラブル時の対処
ティーショットのミスにより左右どちらかに曲がると、次のショットが林の中からになる場合がある。林の中は芝が長かったり、芝がなく土になっていたりして、難しいライになることが多い。
そこから狭いスペースを狙い、狙ったスペースを通すとなると難易度が高いショットになる。また、打ったショットが木に当たると、挽回しきれないほどの大たたきになることも。
実際に林から脱出できないといった経験をしたゴルファーも少なくないだろう。グリーン方向にスペースを見つけるとつい狙いたくなるが、そこは確実に脱出できる広いスペースを選択し狙った方がよい。
松山英樹のマスターズ最終日1番ホール
松山英樹が1打差で優勝したマスターズ。2位に4打差をつけてスタートした最終日のプレーを振り返ると、大きな1打がいくつもあった。例えば5番ホールで5メートルほどパットを沈めてのパーや、パー5の8番ホールで第3打のアプローチをピタリとピンに寄せてのバーディーなどだ。
しかし、最も大きな意味を持った一打は最終日1番ホールの第2打だろう。ティーショットは右に大きく曲がり林の中に入ったため、木々の間を抜くショットが必要になった。そこで松山はピン方向の狭い木々の間を通すことを選択したのだが、ボールは狙った方向より右を通りフェアウェイに転がった。木の左側を通すはずが実際には木の右側を通ったのだ。
松山は打った後、ボールのあったところを見た。クラブヘッドがインパクトで何かに引っかかったと思われるが、あわや木に当たってさらなるトラブルに見舞われていた可能性もあった。もしそうなっていれば、早めに2位以下に吸収され、快挙は達成されていなかったかもしれない。それぐらい、運を味方につけた大きな一打だった。
高い技術を持つプロでも、狭いスペースを狙うとこのようなリスクを伴う。こういったことからも、一般のゴルファーは確実に林の中から脱出できる最も広いスペースを狙うべきだろう。
リスクとリターンを冷静に判断
なかなか林の中から脱出できないうちに更なる惨事に見舞われることもある。狙う木々の間が狭いほどそのリスクは高まる。そして、狙い通りのショットで何とか回避できたとしても、さほど大きなリターンは期待できない。
米ツアー公式データに採用されているSG(ストローク・ゲインド)指標の生みの親であるマーク・ブローディ氏の著書「ゴルフデータ革命」には、平均スコア90ゴルファーの距離別のグリーンオン確率が記されている。
これを見ると、仮に次のショットで50ヤードほどピンの近くから打てたとしても、グリーンオン確率は15%前後上がるだけということが分かる。ということは、そのホールがより良いスコアになる確率はそう高くない。リスクを背負ったところで大きなリターンを得ることはできないということだ。
林の中からのショットで「脱出するのに多くの打数を要する」リスクと「グリーンオンする確率が15%前後上がる」リターンを天秤にかけるなら、リスクを回避することを選択すべきといえるのではないだろうか。
広いスペースを狙う方がスコアメイクしやすい
林の中にボールが入り、最も安全に林から脱出できる空間が真横の場合でも、それが最善の選択である場合が多い。1打捨てるようでもったいない感じがしてしまうが、次のショットで勝負をすべきだろう。
狭い空間を通ったショットを経験すると、その成功体験が災いしてハイリスクローリターンの無謀なトライをしてしまいがちだ。スコアメイクのためには、冷静にリスクとリターンを天秤にかけて、賢明な判断をしていきたい。
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