インパクトで前傾を維持
アドレスでは通常、上体を少し前に傾けた前傾姿勢を取る。ツアー選手はこれがインパクトまで維持されている。
アマチュア時代に国際大会で外国のコーチから「完璧なスイング」と評された西村優菜は、フィニッシュまで前傾角度を維持している。因みに、西村は10月30日から11月1日に開催された三菱電機レディスで初優勝を挙げたミレニアム世代。
一方、アマチュアゴルファーの多くはこの前傾維持が難しいようで、インパクトではお尻が前(つま先側)に出て上半身が起き上がり、前傾角度が浅くなってしまう。
野球やテニスのように動いているボールを打たないゴルフ。「ボールは止まっているのにうまく打てない」と嘆くゴルファーは多いようだが、それは前傾維持できていないことが原因かもしれない。
ツアー選手のように、前傾角度を維持するためにはどうすれば良いのだろう。フィジカル的な問題も考えられるが、前傾が崩れる(浅くなる)理由ついて知る必要がある。
前傾維持の効果
前傾角度の維持により、ライ角(クラブヘッドの底とシャフトの角度)に合ったインパクトが可能になる。ライ角通りのインパクトは、フェースがスクエアになり効率よくボールに力が伝わる。
前傾維持できなければ、手元が浮いたインパクトになる。手元が浮くと、クラブヘッドのトゥ側(先端・シャフトから遠い方)が下がる「トゥダウン」になり、フェースが開きボールに力が伝わりにくくなる。それを補おうと手首をこねると、小手先の調整をせざるを得なくなり、ショットは不安定に。
インパクトでの前傾維持は方向性においても飛距離においても重要な役割を果たすのだ。
前傾が崩れる理由
多くのゴルファーはダウンスイングでボールに当てる意識が強まり、手がカラダから離れ過ぎている。また、クラブの重心や重力、遠心力の影響を受け、スイング中にカラダの重心がつま先側にズレてしまう場合もある。そのため、インパクトで手が構えた位置よりも前方(ボール側)にズレやすくなり、クラブフェースをボールに当てるために前傾を崩して手を浮かさざるを得なくなる。
ダウンスイング中、構造上クラブフェースは開こうとする。そして、重いクラブヘッドは軽いグリップより先に落ちる傾向がある。これらによって手元が浮き、お尻が持っていかれるような形で前傾角度が失われていく。
このように、つま先側にずれたカラダの重心や、腕の振りやクラブがカラダに与える力などの影響によって前傾が崩れてしまう。
前傾維持のために必要なこと
コースや練習場でスマホを使って気軽に撮影できるようになったことで「起き上がるように前傾が浅くなってしまっている」など、状態を把握しやすくなった。しかし、「背骨を傾けたまま」「胸を下に向けたまま」というように、単に前傾角度を維持しようとしても、なかなかイメージ通りに前傾角度を維持することは難しい。
維持するためにはスイング中にカラダにかかっている力を把握し、前傾角度を崩す要因と戦う力や身体操作が必要だ。身体操作とは、「つま先側にズレてしまう重心に対するかかと側への力」や「開こうとするフェースに対しヘッドを落とさずにフェースを閉じる腕の操作」などのことだ。
まずは、インパクトで左のお尻を後方(かかと側)に引いてみてはどうだろうか。腰が引けているように感じるかもしれないが、それで程よく重心の前後のズレが減ることもある。重心のズレが減ると前傾維持もしやすくなり、ショットの精度は向上する。その上、カッコイイスイングも身に着く。是非、トライしてみて欲しい。
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