「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ふわりと高く上げてピタッと止める ロブショットの打ち方と注意点【ゴルフハウツー】

2020 11/9 06:00akira yasu
イメージ画像ⒸKrumao/Shutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸKrumao/Shutterstock.com

グリーンに落ちてからランを抑える必要がある状況

「バンカーを越えて距離が無いところにピンがきってある」「グリーンの入口からピンに向かっての下りが強い」「ボールが沈んだラフからでスピンがかからない」などといった状況でボールをピンに寄せるためには、ウェッジを使いボールをふわりと高く打ち上げ、キャリーしてからのラン(転がり)を抑える必要がある。難しい状況でも、この”ロブショット”を打つことでピンに寄せる確率を上げることができるのだ。

今季米ツアーを転戦した渋野日向子が必要だと感じたことの一つが、アプローチの精度向上。「アメリカのコースセッティングでは日本以上にロブショットが必要になることが多いので、その精度を上げる必要がある」と語っていた。

ただ、ロブショットはピンチ脱出のためのテクニックとなる一方、大きなミスにもつながりやすいハイリスクなテクニック。扱い方には十分な注意が必要だ。

フェースを開いてボールの少し手前からソールをすべらせる

クラブフェースを開いて(右に向けて)構えると、フェースが上を向く(ロフト角が大きくなる)ため、ボールが高く上がりやすい。そして、ソールが芝を滑るようにスイングすると、ボールがふわりと上がりキャリー後のランが少ないショットとなる。

芝に乗ったボールと地面の間にはスペースがあるが、フェースがボールの下から当たるような軌道では、ダフりやトップなどミスが出やすくなる。ボールを上げようとすると、クラブヘッドを下から上方向に動かしやすいが、下からすくうような打ち方にならないように注意したい。逆に、上から打ち込みすぎにも注意が必要。ボールに高さを出すことが難しくなるからだ。

ベストはレベルブロー。ロブショットに適した芝を滑らせる入射角のヘッド軌道にすることで、高さを出しつつ、距離を合わせやすくなる。

ロブショットに適したソールデザインか

ロブショットが可能なウェッジ(クラブ)かどうかを把握する必要がある。フェースを開くと、リーディングエッジ(ソールのフェース側の角)が浮く。クラブヘッドの構造として、この浮く度合いがある程度抑えられているかどうかが、ロブショットに適しているウェッジか判断するポイントの1つになる。

フェースを開いた時にリーディングエッジの浮く度合いが大きすぎると、クラブヘッドがボールの下のスペースに入りにくくなるので、ボールをふわりと上げるロブショットを打つことが難しくなるのだ。

ソールが広いウェッジの場合、ソールを滑らせやすいメリットがある一方、フェースを開いたときにリーディングエッジの浮く度合いが大きくなり、ロブショットが困難となることも。トレーディングエッジ(ソールのバックフェース側の角)を削って、フェースを開いた時にリーディングエッジが浮かない構造になっているウェッジは、クラブヘッドがボールの下のスペースに入りやすくなるため、ロブショットに適しているといえる。

ピッチエンドランの精度は高いか

かなりハイリスクなロブショットは、ボールが高く上がる分、飛距離が出ない。オーソドックスなピッチエンドラン(ウェッジで途中までキャリーさせて、途中から転がす)よりも大きくスイングするため、トップするとピン(グリーン)を大きくオーバーしてしまう。だが、それを回避しようとする意識が強いと、ダフってだるま落としのようにボールがまったく飛ばないショットになることも。

そのリスクを小さくするためには、オーソドックスなピッチエンドランでダフリやトップなどのミスをしない高い精度を獲得する必要がある。ロブショットのような応用テクニックも、基本動作の上に成り立っている。ピンチ脱出を狙うリスクが高いショットを、無謀なトライで終わらせないためにも、ウェッジで打ち出し角を低く抑えたピッチエンドランの精度を、獲得しておきたいところだ。

【関連記事】
プロレベルのバックスピンをかけるために必要なこと【ゴルフハウツー】
パッティングの不調脱出に効果あり? 渋野日向子や鈴木愛が取り入れたクロスハンドグリップとは
【ゴルフ】飛距離増に心血注ぐデシャンボーらドラコン選手達がドライバーのロフト角を5.5度にする理由