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今や6秒台では遅い F1はピットも最速!2秒以内に終わる「ピットストップ」

2019 8/12 17:00河村大志
F1のピットⒸPat Lauzon/Shutterstock.com
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ⒸPat Lauzon/Shutterstock.com

今や4秒は遅い?勝負を決めるピットストップは驚異の1秒台

F1がブームであった1990年代前半のピットストップでは6秒台であればとても速いとされていたが、現在のF1のピットストップにかかる時間をご存知だろうか?これまでの最速タイムはなんと1.88秒。2秒もかからないのだ。

実は今年に入りピットストップタイムの記録は2回も更新されている。今年のイギリスGPでレッドブルがこれまでの最速タイム、1.92秒を0.01秒上回る1.91秒を記録した。さらにドイツGPで1.88秒というとんでもないタイムを同じくレッドブルが更新している。

歴代5位までのピットストップのタイム

ⒸSPAIA

F1はコース上で0.01秒を争う戦いが繰り広げられているが、勝負の分かれ目となるのがピットストップだ。F1ではピットストップが義務化されており、タイヤ交換やマシンの微調整を行う。

0.01秒を争う世界で少しでもタイムを稼ぐことは至難の技だが、ピット作業でミスを犯せば1秒単位で時間が過ぎ去ってしまう。そのためピットストップは順位を大幅に上げることもあれば、下げてしまうこともあるシビアで極めて重要なファクターなのだ。

近年のF1では2秒台が当たり前、4秒もかかれば「遅い」と言われてしまうものになっている。ピットストップが速くなった理由は一体何が理由なのだろうか。

給油禁止がピット作業を加速させた

昔と今のF1のピットストップで大きく違う点といえば給油の有無だ。1994年から2009年までレース中の給油が認められていたが、給油には速くても7秒前後はかかるため、今のピットストップよりも時間がかかるのだ。それでも私たちがガソリンスタンドで給油するようなものではなく、F1の給油は加圧式でものすごい量を瞬時に圧送できた。

給油が禁止されてからはタイヤ交換の義務はそのままでタイヤ選択も全チーム条件が同じになった。タイヤ交換のタイミングが勝負の分かれ目となったことで、タイヤ交換のスピードが求められるようになったのだ。

しかし、ドライバーの間で給油の復活を支持しているものも多く、もしかすると、F1で給油が再び採用される日がくるかもしれない。そうなれば、この芸術ともいえるタイヤ交換の早技を見ることができなくなる。今はピットクルーの最速の「神業」を目に焼きつけてほしい。

人と技術の進化がわかるピットストップ

F1以外のレースでもピットストップが義務化されているが、これほど速く作業することができていない。これは人数の違いが大きく関係している。国内最高峰のフォーミュラカーレース、SUPER FORMULAではピット作業できる人数が6人までと決まっているが、F1では多いところで20名で作業に取りかかる。

F1では1本のタイヤに対してガンマン(タイヤを脱着するガンを使うメカニック)、タイヤを外す係、タイヤを付ける係と3人体制で行う。タイヤだけではなく、マシンを上げるジャッキ担当やスターターなど多くの人員がピットストップに携わっている。

さらにメカニックが使う道具も日々使いやすいように進化していることも、時間短縮の大きな要因である。例えば、スターターと呼ばれる発車を指示する担当は、昔はロリーポップという指示標識を使い、担当メカニックが手動で行なっていた。しかし、今はセンサー感知により自動で変わるシグナルが使われることにより安全性、確実性が上がり、タイムロスも減っている。

そして進化しているのは道具だけではなく人間も同じである。作業にあたるメカニックには瞬発力に体力、筋力が求められる。タイヤ一つにしてもかなり重く、持ち上げるだけでもひと苦労である。しかし、そのタイヤを一瞬で取り外し、装着しなければならないため、メカニックもドライバー同様ジムで体を鍛えているのだ。

今やレースで最も重要なファクターといってもいいピットストップ。レースに与える影響を考えると、常にハードワークを強いられているメカニックが、空いている時間を使ってピット作業の練習を何回も入念に行う理由がわかる。ピットワークを見ればモータースポーツがチームスポーツであることもわかるはず。多くの人間の仕事によってレースが行われていることを知って、レース観戦するとより楽しいので、ピットストップにも注目していただきたい。

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