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F1におけるタイヤのルールをおさらい 新レギュレーションでは18インチ導入へ

2020 4/1 17:00河村大志
イメージ画像ⒸDavid Acosta Allely/Shutterstock.com
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ⒸDavid Acosta Allely/Shutterstock.com

タイヤは勝負を行方を左右する重要な「カギ」

F1で優勝、またはチャンピオンを目指すには速いマシン、ドライバーが必要だ。もちろん、戦略やピットストップ、マシンのセッティングなどを含めたチーム力も重要となる。だが、勝利を目指す上でタイヤの存在を無視することはできない。

唯一マシンと路面が接している部分がタイヤである。どれだけ速いマシンでも、路面とタイヤの相性が良くないと速く走ることはできない。タイムを出すだけではなく、決勝の作戦にも大きく関わるタイヤはレースの結果を左右する重要なカギと言える。

現在、F1のタイヤはワンメイクと定められており、イタリアのピレリが供給している。種類は晴れ用のドライタイヤが5種類、雨用のレインタイヤが2種類。ドライタイヤは硬い順に、C1、C2、C3、C4、C5と呼ばれ、ピレリは各サーキットの特性を考慮し、この5種類の中から3種類のコンパウンドを選択して、各レースに投入する。

投入される3種類のタイヤは、コンパウンドが硬い順にハード、ミディアム、ソフトと呼ぶ。ハード (ホワイト)、ミディアム(イエロー)、ソフト (レッド)というように、ドライバーが今どのタイヤを装着しているのか一目でわかるように、タイヤのサイドウォールにペイントが施されている。

基本的に柔らかいタイヤはグリップ力が高く、耐久性が低い特性を持つ。つまり速く走れるが、タイヤの寿命は短い。硬いタイヤはグリップ力が低く、耐久性が高い特性で、柔らかいタイヤに比べると速く走れないが、タイヤの寿命が長いのが特徴だ。

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雨などで濡れた路面を走行するためのレインタイヤは、インターミディエイトタイヤとウェットタイヤの2種類がある。

浅溝のインターミディエイトタイヤは、小雨の時の路面や雨があがり路面が乾いてきたような場合に使われ、深溝のウェットタイヤは水はけ性能が高く、雨天時のタイヤとして使われる。ウェットタイヤのペイントはインターミディエイトがグリーン、ウェットがブルーとなっている。

各グランプリにおいてドライバー毎に供給されるタイヤのセット数は、ドライタイヤが13セット、レインタイヤが4セットと決められている。ただし、ピレリは予選Q3専用としてソフトを1セット、レース専用としてミディアム、ハードを各1セットずつ供給するため、チームが選べるタイヤの種類は10セットとなる。

また、FP1開始40分後と終了後に1セットを返却、FP2とFP3終了後にもタイヤを2セットずつ返却しなければいけないなど、細かいルールが定められている。これらを踏まえた上で、チームはタイヤ10セットの配分を決めていかなければいけないのだ。

レース中も最低1回のタイヤ交換と、2種類以上のコンパウンドを使用することが義務付けられている。チームはコース特性とタイヤのデータをもとに入念なレースシミレーションを行い、タイヤを決めていく。

仮にチームがコースに合ったタイヤを選べたとしても、ドライバーが上手くタイヤを使いこなせなければ、上位に食い込むことはできない。まさにタイヤを制するものはレースを制するということだ。

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新レギュレーションによりタイヤは13→18インチへ

F1は2021年から大幅なレギュレーション改正を行い、F1マシンの外観も大きく変わる予定だ。現在のマシンに比べ、よりシンプルなデザインになる。現在のF1マシンは凄まじいスピードを誇るが、前方車がいる場合に受けるダウンフォースの損失により、オーバーテイクが難しく、バトルが少ない。

そこで、後方乱気流を大幅に抑制するため、新しいレギュレーションでは後方乱気流を生み出す複雑なボディワークを禁止する。この改正により、これまで使用されていたマシンではダウンフォースが40%失われていたのに対し、シンプルな新しいF1マシンでは10%以内に収まるよう規定された。

マシンだけではなくタイヤにも大きな変更が施される。これまでは13インチだったが、新レギュレーションでは18インチタイヤが導入されるのだ。新しく導入されるタイヤはこれまでよりも空気力学的な影響がシンプルとなり、開発コストの削減が見込め、チーム間格差の是正が期待されている。

しかし現在コロナウィルスの感染拡大により、F1世界選手権2020年シーズンは開幕できていない。そのため、2021年から適応される新レギュレーションを2022年に延期することが決まった。現在正式な発表はされていないが、タイヤに関しても18インチタイヤの導入は先送りになることが予想される。

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