チーム全員で勝ち取ったコンストラクターズチャンピオン6連覇
とにかく「強かった」。この一言に尽きる。2019年シーズンもメルセデスはドライバーズチャンピオンシップとコンストラクターズチャンピオンシップを制した。ルイス・ハミルトンは自身6度目のドライバーズチャンピオンに輝き、メルセデスはコンストラクターズチャンピオンシップ6連覇を達成し、フェラーリの記録に並んだ。
2018年シーズンと比べてみても、獲得ポイント、優勝、表彰台の回数を全て上回っている。ただ2019年のメルセデスは決して「最速のマシン」ではなく、「最速のマシン」を持っていたのはフェラーリだった。しかしフェラーリは作戦、ドライバーのミスが目立ち、わずか3勝に終わってしまった。一方メルセデスは高い水準で安定しており、特に年間21戦で行われた昨シーズンで2台合わせてリタイアが2回しかないのは驚異的である。
最速のマシンではなかったメルセデスだが、ドライバーの腕で補うには十分な戦闘力であった。ハミルトン、バルテリ・ボッタス共に素晴らしいパフォーマンスをみせたが、やはりチームの働きは見事としか言いようがない。
メルセデスチームの強さを見せつけられたのはハンガリーGPだったのではないだろうか。予選ではレッドブルのマックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得し、レースでも強さをみせた。抜きどころのないハンガロリンクでは順位はそのままでフェルスタッペンが勝つと誰もがそう思っていた。しかし、ハミルトン、メルセデスチームは予想を覆してみせたのだ。
フェルスタッペンの後ろ、2位を走っていたハミルトン。3位のシャルル・ルクレールとの距離は半周近くまで広がっていた。順位を落とさずピットに入ることが出来ることを確認したメルセデスはハミルトンにタイヤ交換するためにピットインするよう伝えた。残り20周、新しいタイヤで、古いタイヤを履くフェルスタッペンを抜くという大胆な作戦に打って出たのだ。
アウトラップからとんでもないタイムを叩き出したハミルトンは、フェルスタッペンがピットインできないタイム差まで一気に詰めてしまった。オーバーカットを防いだハミルトンは圧倒的なスピードでフェルスタッペンに近づき、ホームストレートエンドでオーバーテイク。2位で終わるはずだったレースを見事優勝で締めくくったのだ。
最速のマシンではなかったメルセデス。しかし成熟したチームは常に表彰台に登り続け、ライバルたちを圧倒した。