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最強のF1チーム「メルセデス」、前人未到の大記録達成なるか

2020 2/1 11:00河村大志
F1メルセデスのハミルトンⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

チーム全員で勝ち取ったコンストラクターズチャンピオン6連覇

とにかく「強かった」。この一言に尽きる。2019年シーズンもメルセデスはドライバーズチャンピオンシップとコンストラクターズチャンピオンシップを制した。ルイス・ハミルトンは自身6度目のドライバーズチャンピオンに輝き、メルセデスはコンストラクターズチャンピオンシップ6連覇を達成し、フェラーリの記録に並んだ。

2018年シーズンと比べてみても、獲得ポイント、優勝、表彰台の回数を全て上回っている。ただ2019年のメルセデスは決して「最速のマシン」ではなく、「最速のマシン」を持っていたのはフェラーリだった。しかしフェラーリは作戦、ドライバーのミスが目立ち、わずか3勝に終わってしまった。一方メルセデスは高い水準で安定しており、特に年間21戦で行われた昨シーズンで2台合わせてリタイアが2回しかないのは驚異的である。

最速のマシンではなかったメルセデスだが、ドライバーの腕で補うには十分な戦闘力であった。ハミルトン、バルテリ・ボッタス共に素晴らしいパフォーマンスをみせたが、やはりチームの働きは見事としか言いようがない。

メルセデスチームの強さを見せつけられたのはハンガリーGPだったのではないだろうか。予選ではレッドブルのマックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得し、レースでも強さをみせた。抜きどころのないハンガロリンクでは順位はそのままでフェルスタッペンが勝つと誰もがそう思っていた。しかし、ハミルトン、メルセデスチームは予想を覆してみせたのだ。

フェルスタッペンの後ろ、2位を走っていたハミルトン。3位のシャルル・ルクレールとの距離は半周近くまで広がっていた。順位を落とさずピットに入ることが出来ることを確認したメルセデスはハミルトンにタイヤ交換するためにピットインするよう伝えた。残り20周、新しいタイヤで、古いタイヤを履くフェルスタッペンを抜くという大胆な作戦に打って出たのだ。

アウトラップからとんでもないタイムを叩き出したハミルトンは、フェルスタッペンがピットインできないタイム差まで一気に詰めてしまった。オーバーカットを防いだハミルトンは圧倒的なスピードでフェルスタッペンに近づき、ホームストレートエンドでオーバーテイク。2位で終わるはずだったレースを見事優勝で締めくくったのだ。

最速のマシンではなかったメルセデス。しかし成熟したチームは常に表彰台に登り続け、ライバルたちを圧倒した。

強さが光るハミルトンと自信を取り戻したボッタス

その成熟したチームで強さをみせたのが現チャンピオン、ハミルトンだ。彼自身も成熟したドライバーになり、11勝、表彰台には17回登るという強さをみせた。これまではスピードに定評があったハミルトン。しかし近年は「チャンピオンの走り」を披露している。

実は2018年シーズンと比べると優勝回数、表彰台回数は同じなのだが、リタイアしたレースが1から0になり、ポールポジション獲得回数は11から5になっている。全てのレースでポイントを獲得しているのはもちろんのことながら、ポールポジション回数が減っているところを見ると、ハミルトンが速さより、決勝に重きを置いているのがわかる。まさにニキ・ラウダの考え方がハミルトンにも継承されたといっていいだろう。

今までに6度のドライバーズチャンピオン、通算84勝し、今年はついにあのミハエル・シューマッハの記録に並ぶ瞬間がやってくることが予想される。私たちは新たな伝説が生まれる瞬間に立ち合うのだ。

チームメイトのボッタスも2019年は良いシーズンを送ったのではないだろうか。自己最高のランキング2位を獲得し4勝をマーク、表彰台獲得数は15、リタイア2回と立派な成績だ。あまりにハミルトンの成績が凄まじく、どうしても霞んでしまう印象のボッタスだが、2018年の1勝もできなかった苦しい時期を乗り越えた。

特に前半戦はハミルトンと互角以上の成績を残したが、中盤戦で失速してしまった。しかし日本GPでは他を寄せ付けない圧倒的なスピードで優勝を飾り、勢いを殺すことなくシーズンを戦い抜いた。今年ハミルトンの最大のライバルにならなければいけないボッタスは、昨年、「勝ち方」を覚えた印象が強く、ハミルトンとの直接対決でも一歩も引かないアグレッシブでフェアな熱いバトルをみせてくれた。

ライバル勢がさらにメルセデスとの距離を詰めてくることが予想されるが、王者ハミルトンを止めるのがボッタスになれば今シーズンも面白くなるだろう。

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