タイトル獲得なら5勝では足りない
昨シーズンは飛躍の年となったレッドブル・ホンダ。シーズン5勝という目標を設定したレッドブルは3勝をマークし、ドライバーズチャンピオンシップとコンストラクターズチャンピオンシップでランキング3位となった。
今年はチーム、ドライバーともチャンピオンを目標に掲げているが、全22戦のうち5勝ではチャンピオン獲得は難しい。レッドブルのモータースポーツコンサルタントであるヘルムート・マルコは年間6勝以上を挙げ、チャンピオン争いに加わることを目標に掲げた。
2014年から現在のパワーユニットレギュレーションが採用されてから、メルセデスが6連覇を達成しており、今年も昨年とレギュレーションが大きく変わらないことからもメルセデスが7連覇を達成するのではないかと予想されている。
しかし、レッドブルが勝つ可能性のあるサーキットは多い。昨年ペナルティーで勝利を逃したものの、優勝争いを演じたモナコ、初優勝を挙げたオーストリア、中高速コーナーで構成されレッドブルのマシンとの相性がいいイギリス、フェルスタッペンが初ポールを獲得したハンガリー、そのほかにもシンガポールや日本、メキシコにブラジルと優勝を十分に狙えるサーキットが8つあるのだ。
これらのサーキットでグランプリを確実に取っていければ、レッドブルがチャンピオンになることも現実味を帯びてくる。フェルスタッペンのドライバーズチャンピオン獲得も十分可能だろう。
コンストラクターズの大きな鍵を握る「セカンドドライバー」アルボンの課題
チャンピオン争いはドライバーだけではない。世界最高のF1チームを決めるコンストラクターズチャンピオンシップは、チームにとって世界一の称号だけではなく、支払われる分配金の額に差が出るためとても重要だ。
当然のことながら、コンストラクターズでポイントを重ねるにはドライバー2人が揃って上位入賞しなければならない。去年のランキングで各チームのNo.1ドライバーを決めるなら、メルセデスはハミルトン、フェラーリはルクレール、レッドブルはフェルスタッペンということになる。
セカンドドライバーの面子をみてみると、最も実力があるのは4度の世界王者に輝いたフェラーリのベッテルで、メルセデスには昨年2位のボッタスがいる。レッドブルのセカンドドライバーは2019年シーズン後半から加入し、安定感が評価されているアルボンだが、ベッテルやボッタスに比べるとまだまだ足りない部分があるのは否めない。ただ、昨年の前半戦に悪戦苦闘したレッドブルにとって、安定感のあるアルボンはうってつけの存在と言える。
昨年の前半戦ラインナップはフェルスタッペンとガスリーだったが、ガスリーが開幕前のテストで2度クラッシュしてしまい、データを十分に収集することができなかった。その分、新しいパーツの導入が遅れ、開幕戦での3位以外は苦戦を強いられてしまう。シーズン中盤から後半にかけてポイントを重ね、巻き返すことはできたが、今年優勝を狙うのであれば前半戦をどう乗り切るかが課題となる。そういった意味では、アルボンの安定感はチームへ多大な貢献もたらすのではないだろうか。
アルボンの課題は予選だ。予選でトップ5に入ったのは、後半9戦のうちメキシコ、ブラジル、アブダビの3戦にとどまった。だが、GP3やF2での純粋なスピードはチャンピオンを獲得したルクレールやラッセルと同等、時には凌駕したほどである。もともとスピードに定評のあるドライバーだけに、期待したいところだ。
今年はバルセロナでのテストで多くのデータ収集と信頼性を確保することが、ポイントランキングでトップ2を上回るには絶対条件となる。前半戦からレッドブル・ホンダがメルセデスとフェラーリ相手に互角の戦いができれば、今年は間違いなく面白いシーズンになるだろう。