GP第4戦中国杯で2位
派手な4回転ジャンプがなくても、磨き上げた表現力で輝きを放った。代名詞の美しいレイバックスピンには海外メディアも「完璧だった」と称賛。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦、中国杯は11月9日、中国の重慶で行われ、女子はショートプログラム(SP)2位の21歳、宮原知子(関大)がフリーで142.27点の3位となり、合計211.18点で2位に入った。
SP6位の18歳、本田真凜(JAL)はジャンプでミスが重なったフリーで7位にとどまり、合計168.09点で7位だった。
シニア1年目の15歳、アンナ・シェルバコワ(ロシア)が4回転ルッツに2度挑んだフリーで152.53点を出してSPに続いて1位となり、合計226.04点でGP2連勝。シリーズ上位6人で争われるファイナル(12月5~7日・トリノ)進出を決めた。
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演技構成点は4項目で9点台
ユダヤ人の大虐殺(ホロコースト)をテーマにした映画「シンドラーのリスト」の音楽を使ったフリー。4分の演技最後に得意のレイバックスピンを披露すると、魅了された観客も熱狂した。
国際スケート連盟(ISU)は公式ツイッターで「素晴らしい、美しい、そしてエレガント、サトコ!」と絶賛。宮原は磨き抜いた美しいスピン、ステップで最高難度のレベル4を並べる安定感で対抗し、今季GP初戦で表彰台をたぐり寄せた。
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表現面を示す演技構成点は5項目のうち4項目で9点台をそろえ、SPに続いて全体1位の高い評価。ジャンプの回転不足を三つ取られたものの、序盤のルッツ―トーループの連続3回転ジャンプでは加点を引き出した。美しいピアノの旋律に合わせ、繊細なスケーティングを披露し、フリー、合計点とも今季の自己最高点をマークした。
5年連続のファイナルへ次はロシア杯
2018年平昌五輪4位の宮原は今季からカナダ・トロントを拠点に指導するリー・バーケル氏に師事し、浜田美栄氏と共にメインコーチを務める。
ジャンプ改善とさらなるレベルアップを目指すものだが、“ミス・パーフェクト”の異名を取る宮原は息つく間もなく、3種類の4回転を駆使するトルソワ(ロシア)が待ち受ける次戦のロシア杯(11月15、16日・モスクワ)に備える。
今季のテーマは「自律」。大技の4回転ルッツに2度挑んだシェルバコワとは対照的に、宮原はプログラムを緻密に演じ切る完成度で勝負できることを証明した。安定感のある演技で表現面も高く評価され、自信を取り戻したGP初戦。自ら追求する道を貫き、5年連続のファイナル進出を目指す覚悟だ。
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