村元とペア結成、来年1月転向
フィギュアスケート男子で2010年バンクーバー冬季五輪銅メダリストの高橋大輔(関大KFSC)が来年1月から「氷上の社交ダンス」とも呼ばれるアイスダンスに転向することになった。2018年平昌冬季五輪代表の村元哉中(木下グループ)と男女のカップルを新たに結成。33歳にして異例の挑戦だ。
日本男子フィギュア界で歴史の扉をこじ開けてきたレジェンドの1人。今後は米フロリダ州を拠点とし、マリナ・ズエワ・コーチの下で2020~21年シーズンの大会出場を目指す。1組の男女が音楽に合わせ、ステップやリフトなどで同調性や表現力をアピールして得点を競うアイスダンスで、最大の目標は2022年北京冬季五輪出場となる。
シングルは12月の全日本が最後
「まさか、アイスダンスに挑戦する日が来るとは!オリンピック目指すのですか?って聞かれそうですが、まだまだそこまで考える余裕はなく、体も作らなくてはいけませんし、やることがいっぱい過ぎて既に足がプルプル言ってます(笑)」
「けれど、これから始まる挑戦の先にある景色が村元選手と一緒に、そして皆さんと一緒に見られるのであれば、それは素敵ですよね!」
高橋は自身の公式サイトで心境をコメントした。
男子シングルでは出場予定の11月の西日本選手権、12月の全日本選手権が最後になる。「男子シングルの山あり谷ありのジェットコースターみたいな僕のキャリアにお付き合いいただき有難うございました。全日本選手権で競技会でのシングルのスケートは最後です。そして2020年から新しいジェットコースターへ乗り継ぎますので、引き続きお楽しみいただければと思います!」と続けている。
村元から持ちかける
26歳の村元はアイスダンスで平昌五輪にクリス・リードと組んで出場し、日本勢過去最高に並ぶ15位となった。今回は経験豊富な村元の方がリードとのコンビ解消を受け、新たなパートナーを探す中、昔から憧れの存在だったという高橋に話を持ちかけ、夏の練習を経て9月に正式結成が決まったそうだ。
高橋は2014年に現役を引退したが、昨年にサプライズ復帰すると、高い表現力と情熱的なステップを武器に全日本選手権でいきなり2位に入った。4年のブランクをものともせず、周囲の雑音を吹き飛ばした底力は健在だ。
1976年インスブルック大会から冬季五輪の正式種目になったアイスダンスはもちろんゼロからの出発だが、以前から興味があったそうでペア結成を引き受ける覚悟を決めたという。
高い表現力必要…日本人の五輪入賞なし
アイスダンスは2人の同調性や細かなエッジワークなど高い表現力が求められる。シングルとは靴も違い、パートナーとの距離感、男子に屈強な体が必要なリフトなど異なる要素が多い。同じく男女が組むペア種目と違って豪快なジャンプなどの要素もない。
男女シングルでトップレベルの日本だが、アイスダンスは五輪でまだ入賞さえない種目。村元は自身のツイッターで「今後試練はたくさんあると思いますが、2人のスケートに対する情熱で乗り越えていこうと思います!」とコメントしている。
高橋 大輔(たかはし・だいすけ)2002年世界ジュニア選手権で日本男子初制覇。初出場の2006年トリノ冬季五輪8位。2008年に右膝の大けがで手術したが、2010年のバンクーバー五輪で銅メダル、2月のソチ五輪で6位。世界選手権では10年に金メダル、07年と12年に銀メダル。GPでファイナルを含む通算9勝、全日本選手権で5度優勝。岡山・倉敷翠松高出、関大大学院。165センチ、59キロ。33歳。岡山県出身。
《関連記事》
▶17歳・紀平梨花、4回転サルコー封印でも圧勝V
▶羽生結弦、夢の4回転半の先にある五輪3連覇
▶宇野昌磨、前人未到の5回転ジャンプ挑戦?コーチ不在で新シーズンへ
▶フィギュアスケート関連記事一覧