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羽生結弦が自身初の全国ツアー公演、魂と祈りテーマにMIKIKOと再タッグ

2023 9/6 06:00田村崇仁
羽生結弦,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

11月から埼玉、佐賀、神奈川で開催

生きていく中で自分と向き合い、あなただけの世界の色を―。フィギュアスケート男子で2014年ソチ、2018年平昌両冬季五輪2連覇を達成し、決意のプロ転向表明から7月で1年が過ぎた羽生結弦が9月1日、単独のアイスショーとして自身初となる全国ツアー公演を発表した。

11月4、5日の埼玉(さいたまスーパーアリーナ)を皮切りに、2024年の1月に佐賀(SAGAアリーナ)、2月に神奈川(ぴあアリーナMM)の各県で全国3カ所を回る日程だ。自身が制作総指揮を務め、ショーの物語も執筆する。

タイトルは「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd “RE_PRAY” TOUR」。題名の通り、生きていく中で繰り返される根源的な魂への問いや「祈り」がテーマの物語となるようだ。競技会から「卒業」した28歳の羽生結弦はプロのスケーターとしても新境地を開拓しているが、2022年11月の「プロローグ」、スケーター史上初の東京ドーム公演となった2023年2月の「GIFT」に続く単独公演第3弾と位置付ける。

ツアーの公式サイトでは「正解が一つではない問いの中で、そして、一度として同じにならない空間とスケートと演出で、見てくださる方、一人一人の中にしか生まれない世界の色を、感じていただければと思います。正しさも、間違いも、悲しみも、孤独も、祈りも、自分の魂を込めて、言葉たちとスケートで紡がせていただきます」と次なるステージへ覚悟を込めたメッセージを寄せた。

羽生結弦の表現に触れられるのは「ご褒美」

さらにファンにとって楽しみなのは、Perfumeをはじめ数々の人気アーティストのパフォーマンスを手がける日本を代表する演出振付家のMIKIKOとの再タッグだろう。羽生自身が「感謝の贈り物」という思いを込めた「GIFT」では、氷上でしか表現できないスピード感や美しさを演出でサポート。

公式サイトを通じ「『GIFT』の本番を観ながら、今まで観たことのなかったジャンルの表現が、ここ日本で産まれた喜びと、もっともっと描きたいという欲望で胸がいっぱいになりました。羽生くんの紡ぐ言葉たちと、彼にしか描けない表現に、お客様の人生が重なってはじめてこの作品は完成します。"羽生結弦"の表現に触れられることは、きっとこの時代を頑張って生きている私たちへのご褒美です。再びのこの機会に感謝して、大切に大切に作って参ります」とコメントを寄せた。

最近はダンスの切れ味抜群のユニーク動画も披露

最近はANAの公式Instagramで、K-POPアイドルグループ・BTSの『Dynamite』のダンスや、歌手Adoさんの楽曲『阿修羅ちゃん』の音楽に合わせて抜群の切れ味で軽やかに踊るユニーク動画も公開し、話題になっている。

自らが出演、プロデュースする単独アイスショーではこれまでの競技とは異なるフィールドで、独自の世界観を披露。フィギュアスケートの魅力だけでなく、スポーツが持つ本来の力やメッセージを国内外に届けてきた。地元の宮城で「羽生結弦 notte stellata」を開演した際には、五輪2連覇を達成した体操の内村航平との異色の共演も実現している。

今回の全国ツアーに向け、ゲーム好きとしても知られる羽生は「MIKIKO先生や大切な皆さんと一緒に、また作り上げていく機会をいただき、本当に嬉しいです。この『RE_PRAY』には、自分の経験の中で大きな要素であるゲームの世界からの倫理観や価値観も入っています。たった一回しかない命、繰り返しできるゲーム、相反している二つの中で、それぞれでしか見つけられない大切なことがたくさんあると思っています。どちらの大切なことも、言葉たちとスケートに、託していきます」との決意も示した。

人として生きていく上で根源的な課題や湧き上がる思いと向き合い、氷上でそんな願いや希望を表現する。

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