アイスショーで喜怒哀楽を全面に出す難役
フィギュアスケートの世界選手権で日本男子初の2連覇を達成した25歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)がアイスショー『ONE PIECE ON ICE~エピソード・オブ・アラバスタ~』で主人公の少年モンキー・D・ルフィ役を熱演し、新境地を見せている。
アイスショーの公式サイトで、宇野は「何もかもが新しい挑戦で未知の領域。ここ最近の中で自分が一番やりたい、と思うことが現れた。何かを演じることが初めてで、もともと器用にいろんなことができるタイプではないので全力でやっていきたい」と意気込んでいた通り、海賊王を目指すルフィとその仲間たちの壮大な冒険アニメの世界観を氷上で表現。
公開されたリハーサル後の会見で明かしたように「喜怒哀楽が全面的に出るキャラクター」という難しい役どころだが、普段はシャイな一面もある宇野が顔の表情も大きな会場のファンに届くよう意識し、音楽や演出に合わせて感情豊かに体を動かして演じている。
8月11日~13日の横浜公演に続き、9月2日~3日には名古屋公演が開催される予定だ。
王女ビビ役は本田真凜、劇中のセリフに動き
大人気アニメのワンピースが史上初めてアイスショー化され、今回のエピソード「アラバスタ編」は謎の秘密結社の陰謀により崩壊の危機に瀕した砂漠王国「アラバスタ」を舞台に、王女ビビと主人公ルフィ率いる「麦わらの一味」が国を救うべく立ち上がる物語。
王女ビビ役を本田真凜、百発百中の射撃の腕を持つウソップ役を織田信成、ナミ役を本田望結、秘密結社のボス役を無良崇人らが演じ、従来のアイスショーとは趣が異なり、アニメの声優陣が務める劇中のせりふに動きを合わせて滑る斬新な形のアイスショーでもある。
宇野は公式サイトで「ルフィがどんな困難も乗り越えていく姿に僕自身も何度も背中を押してもらったことがあります。自分にとっては何もかもが挑戦、未知の領域ですが、フィギュアスケートを好きな方にも、これまで一度もフィギュアを見たことがないという方にも楽しんでいただきたい」とメッセージを寄せた。
新シーズンへ「競技にもプラスに」と期待
宇野は2023―2024年シーズンに向け「新」をテーマに掲げ、ジャンプ一辺倒だと感じた自身のスケートを見直し、氷上での「表現力」に磨きを掛けながら世界王者として次なるステージに挑む姿勢を示している。
今季のグランプリ(GP)シリーズは第4戦の中国杯(11月10~12日)と第6戦NHK杯(11月24~26日)にエントリー。ルフィ役の挑戦で「競技のフィギュアスケートにとってもプラスになるいいきっかけ」とも感じており、さらなる成長に期待が高まる。
アイスショーの公開リハーサル後の会見動画を見ると、宇野は「演者はみんな全力を出し切っている。僕なりに達成感というか、やりきっている感じがある」と充実した笑顔でコメント。技術と表現の融合を図り、大きな一歩を踏み出そうとしている。
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