GPシリーズ中国杯とNHK杯エントリー
フィギュアスケート男子でグランプリ(GP)ファイナルを初制覇し、3月の世界選手権で日本男子初の2連覇を達成した25歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)が2023―2024年シーズンに向け「新」をテーマに掲げ、さらなる成長へ一歩を踏み出した。
国際スケート連盟(ISU)が6月28日に発表したグランプリ(GP)シリーズ各大会の出場選手リストによると、宇野は第4戦の中国杯(11月10~12日)と第6戦NHK杯(11月24~26日)にエントリー。
5月のイベントでは公開された動画で「ジャンプを中心にプログラムを作っていたところを、もうちょっと何を表現したいか含めてプログラムを作っていきたい。自分も含めて変化を楽しんでいただけたら」と新シーズンに向けて語っており、氷上での「表現力」に磨きを掛けながら次なるステージへ世界王者として挑む姿勢を示している。
ワンピースのルフィ役でも求める表現力
大人気アニメのワンピースが史上初めてアイスショーとなる『ONE PIECE ON ICE~エピソード・オブ・アラバスタ~』では主人公の少年モンキー・D・ルフィを演じ、8月11日~13日に横浜公演、9月2日~3日に名古屋公演を開催する。
アイスショーでも求めるのは「表現力」という。ワンピースは世界的にも人気のアニメだが、今回のアラバスタ編は謎の秘密結社の陰謀により崩壊の危機に瀕した砂漠王国「アラバスタ」を舞台に、王女ビビと主人公ルフィ率いる「麦わらの一味」が国を救うべく立ち上がる壮大な物語。
アイスショーの公式サイトで、宇野は「新しい挑戦になる。全力でやっていきたい」と意気込んでおり、音楽や演出に合わせてワンピースの世界観を表現する初の試みで新シーズンのステップへとつなげたい考えだ。
表現力の理想は高橋大輔やランビエル氏
「表現力」というテーマで宇野が以前から憧れとして公言するのは、このほど引退を公表した元世界王者の高橋大輔や二人三脚で指導を受けるステファン・ランビエル・コーチ(スイス)。「ジャンプ」の二の次でなく、観客を引き付けるような「表現力」を追い求め、進化した新たなスケーター像を見据える。
2022年9月に史上初めてクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に成功した18歳のイリア・マリニン(米国)は一躍脚光を浴びた一方、GPファイナルと世界選手権はいずれも3位。「4回転の神」と呼ばれる新星も大技だけでなく「表現力」を課題に掲げる。
背中を追いかけてきた冬季五輪2連覇の偉大な先輩、羽生結弦もプロに転向した。成熟したスケーターとして技術と表現の融合を図り、もう一つ上の領域へ。世界王者になっても、宇野は表現者としての自分の魅力を突き詰めながら滑り続ける。
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