名伯楽オーサー氏に師事、ジャンプ練習再開
フィギュアスケート女子の2018年グランプリ(GP)ファイナル女王で右足首故障から完全復活を期す19歳の紀平梨花(トヨタ自動車)が、4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪に向けて再出発した。
公式戦の出場はまだ先だが、アイスショーには精力的に出演を重ねており、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を代名詞にする得意のジャンプ練習も再開。カナダ・トロントを拠点にする名伯楽ブライアン・オーサー・コーチに昨年から師事しており、頻繁に日本とカナダを往復しながら振り付けやスケーティング技術、ステップのチェックにも余念がない。自身のインスタでもオーサー氏との写真を笑顔でアップしている。
2月には「どんなときも応援してくださる皆様に、感謝の滑りを届けたい」とインスタに思いをつづり、リンクで練習する姿やプールでリハビリする様子を公開した。
北京五輪はけがで断念「もっと強く」と決意
2020年の全日本選手権ではフリーで大技の4回転サルコーを初成功させて2連覇。しかし2021年7月に右足首を疲労骨折して年末の五輪代表最終選考会を兼ねた全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)を欠場し、メダル獲得も期待された2022年北京五輪出場への道が断たれていた。
それでも自身のツイッターで「この大きなプレッシャーの中みんな本当におめでとう。テレビで観戦していてとっても感動しました。私も早く怪我を完治させもっともっと強くなって戻ってきます!!」と選手仲間にエールを送った通り、五輪断念という挫折を乗り越えてさらに強くなった姿で復帰を目指す。
通信制のN高卒業し、2021年4月に早大進学
紀平は2021年4月、自身のインスタで早稲田大学人間科学部の通信教育課程(eスクール)に入学したことを報告している。かつて同じフィギュアスケート男子の羽生結弦(ANA)も在籍し、努力次第で学業との両立も目指せる環境だ。
通信制のN高の卒業式ではリモート出席し「N高では通信のおかげで勉強にもスケートにもしっかり両立することができて本当にいい3年間だった」と話しており、大学生とトップスケーターの両立もこれからの一つの挑戦となる。
再起のシーズンへフリーは「タイタニック」
来季のフリー曲は「タイタニック」を継続する予定という。当初は北京五輪で披露する予定だったが、終盤にしっかりと盛り上がる場面があり、物語や曲調に合わせて表現できる「大のお気に入り」という曲だ。
2月のアイスショー「プリンスアイスワールド東京公演」では久々に公の場で滑らかな滑りを披露し、自身のプログラム「Rain」で2度のジャンプを決めるなど元気な姿をアピールした。
夢に見た北京五輪では坂本花織(シスメックス)が団体と個人で銅メダルを獲得するなど、日本勢の活躍を見届ける側に回ったが、シェルバコワやトルソワら4回転ジャンプのロシア勢と堂々と渡り合うパフォーマンスには逆に勇気をもらったという。
2018年12月のGPファイナルで平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(ロシア)を破り、初出場優勝を成し遂げてから約3年半。昨季出場がなかったため日本スケート連盟の強化指定からは外れたが、来季は焦らず、じっくりと年末の全日本選手権にピークを合わせる予定だ。
4年後のミラノ・コルティナ五輪を見据え、紀平は心技体とも成長してきっとたくましく笑顔で復活してくることだろう。
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