日本勢で過去最高、10年ぶりのメダル
「りくりゅう」の愛称で親しまれる三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)がペア結成3季目で快挙を達成した。
フィギュアスケートの世界選手権(フランス・モンペリエ)で3月24日、合計199.55点で銀メダルを獲得。ペアの日本勢で冬季五輪を含めて過去最高順位で日本人同士のコンビで初の表彰台だ。日本勢のメダルは2012年大会銅メダルの高橋成美、マービン・トラン(カナダ)組以来で、10年ぶり2度目となった。
北京冬季五輪で三浦、木原組は団体3位に貢献し、ペアでも伸び伸びとした演技で日本勢初入賞となる7位と健闘。今季はグランプリ(GP)シリーズで2戦連続表彰台に上がるなど飛躍を遂げたシーズンの締めくくりで、次世代にもつなぐ大きな価値のある表彰台となった。
表現力を示す演技構成点はSPで全体トップ
躍進を遂げた今季最後のフリー「ウーマン」。木原は「結果を求めすぎず、とにかく楽しもう」と心に誓い、三浦も「私たちらしい演技で心を込めて滑りたい」と氷上に立った。スロージャンプなどでミスが出て2人とも納得いく演技こそできなかったが、リフトやスピンの要所は押さえた。
表現力を示す演技構成点は「ハレルヤ」を演じたショートプログラム(SP)が全体トップ、フリーでも全体2位。日本人同士のコンビで世界のトップに位置付けられた意義は大きく、今シーズンの成長を証明した。
木原「次世代が挑戦してくれれば」と期待
今大会のペア銀メダルで来年3月にさいたま市で開催される世界選手権で最多3の出場枠も獲得した。
一方で欧米に比べて国内ではペアの普及が遅れており、練習環境の整備や指導者不足も課題だ。演技後の中継局インタビューで、29歳の木原は日本勢10年ぶりのメダルの意味を問われ「これを一つきっかけに、次の世代がペアに挑戦してみようと、そんな子どもたちが出てくればいい」と受け止めた。
20歳の三浦も喜びは控えめで「本当はショート、フリーと完璧にそろえてメダルを取りたかった。まだまだ自分たちは練習不足だなと思いました」と反省を忘れず、来季への意欲を新たにした。
今大会のペアは北京五輪で金メダルの隋文静、韓聡組と5位の中国勢が欠場。五輪で2~4位を占めたロシア勢はウクライナへの軍事侵攻による制裁措置で国際大会から除外され、五輪の上位5組は出場しなかった。
そんな異例の状況下でも優勝したアレクサ・クニエリム、ブランドン・フレージャー組(米国)に次ぐ銀メダルに輝いた価値は大きい。
木原は「最後の試合で課題をいただけた。これがゴールではない。また新しい4年のスタート。この悔しさを忘れず、強くなって戻ってきたい」と決意した。三浦も「たくさんたくさん自分を見直すところある。また2人で一から頑張っていこうと。来季は最後まで気を抜かずやりきれるように」と再スタートへの思いを語った。
昨季は新型コロナウイルス禍で試合数が少なく、通常のシーズンを完走するのは今季が実質初めてだった。スケートの楽しさを忘れず、人の心に残る演技を―。2人の思いは共通している。真価を問われる来季に向け「りくりゅう」はさらなる進化が期待できそうだ。
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