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村元哉中&高橋大輔、ジュニア指導で美しい滑りに原点回帰

2022 5/7 06:00田村崇仁
村本哉中・高橋大輔組,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

来季も強化選手A、思い出の地でスケート教室

フィギュアスケートのアイスダンスで結成2年にして誰もが驚くべき成長を遂げた36歳の高橋大輔、29歳の村元哉中(ともに関大KFSC)の「かなだい」ペアがオフも精力的に活動している。

来季もカップル継続するか否かに注目が集まる中、日本スケート連盟は4月21日、2022年度の強化選手を発表し、アイスダンスは小松原美里、小松原尊組(倉敷FSC)と「かなだい」こと村元、高橋組が強化選手Aとなった。これは2021~2022年シーズンの成績に応じた決定で、来季の進退は考慮していないが、2人のチャレンジは今も続いている。

大型連休に入った4月30日には次世代の選手発掘や普及を目的に新潟市が開いたスケート教室に「特別講師」として参加。スケートリンクには11歳から17歳までのジュニアの選手20人が集まり、高橋はシングル時代から世界一と評される華麗なステップやターンの動き、つま先の向きからフリーレッグのポジションまで、体幹を意識した「美しい滑り」を村元とともに丁寧に指導した。

スケート教室の舞台となった新潟市のMGC三菱ガス化学アイスアリーナは、2019年夏にアイスダンスのトライアウトを行い、2人のカップル結成に至った思い出のリンクでもあるという。

地元メディアによると、子どもたちに手取り足取り教えることで原点に回帰するように、後ろ向きで足を交差させながら滑るバッククロスと呼ばれる動作も実演。将来的に世界へ羽ばたく成長の鍵について「どれだけスケートが好きか、どれだけスケートを楽しんでスケートをできるかに尽きる」とコメントした。

ジュニア時代から大切にする「楽しさ」の原点

フィギュア男子のシングルで歴史を切り開いてきた高橋は2002年3月、世界ジュニア選手権(ノルウェー・ハーマル)で日本男子として初優勝。2010年2月のバンクーバー冬季五輪で3位となり、フィギュア日本男子初の五輪メダリストに。同年3月の世界選手権(イタリア・トリノ)では、日本の男子として史上初の優勝を果たした。

まだ10代の岡山・倉敷翠松高時代から次代のエースとして期待されてきただけに、基礎練習の大切さや楽しむことの原点、シニア転向後の壁の高さも熟知しているのだろう。一度は引退を経て復帰し、最近2年ではアイスダンスに転向後の厳しさやスケートの奥深さも知るだけに「今、どれだけ楽しむか」をテーマにして熱血指導した。

5月5日、高橋は「こどもの日」にスポーツ報知の紙面で「どんどん失敗していこう!全て自分の財産だ」とミスを恐れず、全力投球するメッセージを寄稿。カップルを組む村元も「エンジョイ&スマイル」と笑顔で楽しむことの大切さを呼びかけた。

シンプルな言葉だが、年齢を重ねても忘れてはいけない誰にでも共通するテーマであるのは間違いない。来季の2人がどんなストーリーを描くにしても、子どもたちに指導した「楽しむ原点」を忘れず、一歩ずつ前に進むことで新たな道は切り開かれていくだろう。

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