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フィギュア団体、カップル種目躍進と総合力で悲願の北京五輪銅メダル

2022 2/12 06:00田村崇仁
銅メダル獲得した三浦璃来、木原龍一組,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

過去2大会は5位、ROC、米国に次ぐ表彰台

北京冬季五輪のフィギュアスケート団体で2月7日、日本が悲願の表彰台となる銅メダルを獲得した。

2014年ソチ冬季五輪で初採用され、過去2大会は5位どまり。男女シングルとペア、アイスダンスの順位点合計で争う種目で、これまで課題とされてきたカップル種目のペアで三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)が急成長し、アイスダンスの小松原美里、小松原尊組(倉敷FSC)も奮闘して日本の「総合力」の高さを示した。

ロシア・オリンピック委員会(ROC)が2大会ぶりの金メダル、米国が銀メダル。カナダが4位、中国が5位だった。

ペアの「りくりゅう」、攻めの滑りでフリー2位と大躍進

快挙達成の要因は、前回大会まで世界と力の差があったペアの躍進がまず大きい。過去の2大会、日本はいずれもペアでSPは8位、上位5チームによる決勝のフリーは最下位の5位と欧米のライバルと差をつけられた。

今大会、結成3季目で進境著しい「りくりゅう」ペアはSPで4位、フリーでもスピードに乗った攻めの滑りで自己ベストを4点以上更新する139.60をマークして2位に入り、日本のメダル躍進に大きく貢献した。

高さのある「ツイストリフト」や3回転の「スロージャンプ」などでも息の合った演技を見せ、スピンでは最高評価のレベル4を獲得。今季のグランプリ(GP)シリーズで2戦連続表彰台に上がった成長ぶりを証明した形だ。

ROCには及ばなかったものの、中国、カナダ、米国を抑え、演技を終えると精根尽き果てたように肩で息をしながら笑顔で抱き合った。

男子SP宇野昌磨は自己新、フリーは鍵山優真が今季世界最高

エース羽生結弦(ANA)が個人種目に専念した男子シングルは、2月4日に日本のトップバッターでSPを滑った宇野昌磨(トヨタ自動車)が冒頭から4回転フリップを鮮やかに成功させ、3季ぶりに自己ベストを更新する105.46点で2位とチームを勢いづけた。

2月6日のフリーでも初出場の18歳、鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)がループ、サルコー、トーループの3種類計4度の4回転ジャンプを決めて今季世界最高の200点超えで1位となり、あどけない顔から想像できない強心臓ぶりを見せつけた。

冒頭から切り札の4回転ループに成功し、基礎点が1.1倍になる後半には4回転トーループからの3連続ジャンプ、最後のトリプルアクセル(3回転半)と軽やかに着氷し、自己ベストの208.94点をたたき出した。

女子SP樋口新葉、フリー坂本花織も好演技で笑顔満開

女子シングルのSPに起用された初出場の樋口新葉(明大)は大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を「安全策」で回避したが、ほぼミスのない演技で74.73点をマークし、15歳のカミラ・ワリエワ(ROC)に次ぐ2位の9点を獲得。スピンとステップは全て最高難度のレベル4を獲得し、重圧にも打ち勝った。

最後を締めくくったのはフリーの坂本花織(シスメックス)だった。全日本選手権女王として戻ってきた2度目の五輪。持ち前の距離が出る豪快なジャンプを7つ全て降りて自己ベストに迫る148.66点をマークし、ワリエワに次ぐ2位で9点を得た。情感豊かに滑り切ると、両手でガッツポーズも飛び出した。

これまでシングルに注目が集中してきた日本のフィギュア界にとって、カップル種目の強化が結実したことは大きな一歩となる。1月の四大陸選手権(タリン)ではアイスダンスで五輪を逃した村元哉中、高橋大輔組(関大KFSC)が合計181.91点で2位に入り、同種目の日本勢で2018年大会の村元、クリス・リード組の3位を上回る過去最高順位の快挙を成し遂げた。こうした流れが加速し、人気拡大で普及が進んで日本の指導環境も整えば日本の選手層はさらに厚くなるだろう。

悲願だった団体の初メダルは、北京五輪でそれぞれの個人種目でも追い風となりそうだ。

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