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宇野昌磨、世界選手権で北京の雪辱狙う、チェンと羽生欠場でライバルは鍵山優真

2022 3/22 06:00田村崇仁
宇野昌磨,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

銅メダルも力を出し切れなかった北京冬季五輪

フィギュアスケートの世界選手権(3月23日開幕・モンペリエ=フランス)で24歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)は「第2章のスケート人生」と位置付ける今シーズンの最終戦に挑む。

2月の北京冬季五輪王者で世界選手権を3連覇中だったネイサン・チェン(米国)と2014年ソチ、2018年平昌両五輪覇者の羽生結弦(ANA)はいずれもけがで欠場。北京五輪で銅メダルを獲得した宇野にとって、最大のライバルは18歳のホープで北京五輪銀メダルに輝いた鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)だろう。

五輪チャンネルのインタビューで北京五輪を振り返り「ステファン・ランビエルコーチにフリーの直前、しっかり自分のエネルギーを全て出し切っておいでって言われたけど、出し切れませんでした。なので世界選手権で必ず出し切りたいと思っています」と答えており、五輪の雪辱へ真価が問われる舞台となる。

今度こそ見せたい「ボレロ」の完成形

北京五輪ではバレエの名曲「ボレロ」の荘厳なリズムに乗せ、フリーで4種類計5度の4回転ジャンプを跳ぶ高難度の構成で勝負に出た。

元世界王者のランビエル氏から授かった渾身のプログラムの勝負テーマは「激しく燃える炎」。紆余曲折を経て戻ってきた2度目の舞台で4年間の思いをぶつけ、序盤の4回転でミスが出る苦しい展開を乗り越え、2大会連続表彰台となる銅メダルを手にした。

だが一方で「やり残したことがある」という不完全燃焼の悔いも残した。ジャンプやステップも含め「ボレロ」の完成形を見せたい。そんな決意とステファン・コーチを満足させる演技を見せることが世界選手権での最大の目標だ。

ランビエル氏とのコンビで次のステージへ

宇野は4位に終わった2019年世界選手権のシーズン終了後、5歳から指導を受けてきた山田満知子、樋口美穂子両コーチの下を離れた。後任が半年以上見つからず、孤独な練習を続ける日々で「どん底の時期」も経験したが、救世主に名乗りを上げたランビエル氏とのタッグで復活を遂げた。

五輪チャンネルのインタビューでは「僕の第2のフィギュアスケート人生が今年始まったという感覚がある。時間が止まったり、いろいろ考えさせられたりしたが、改めて出発する年になった」と揺れ動いた心境を打ち明けている。

さらに「僕はまだまだスケートを続けていこうと思っているので、どこまで自分が通用し続けることができるのか分からないですけど、可能な限り自分の力を発揮していこうと思います」とも吹っ切れた表情で新たな決意を語った。

今季最終戦で磨きを掛ける表現力と4回転ジャンプやステップでどんな新境地を開けるか。切磋琢磨する後輩の鍵山との対決とともに、宇野が再スタートとなる大一番を迎える。

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