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高橋大輔、村元哉中組、北京五輪1枠懸けた前哨戦へ結成2年目の進化

2021 11/4 11:05田村崇仁
高橋大輔と村元哉中,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

11月はNHK杯とワルシャワ杯の連戦

フィギュアスケートのアイスダンスで2022年2月の北京冬季五輪出場を目指す村元哉中、高橋大輔(ともに関大KFSC)組の五輪1枠を懸けた「前哨戦」がいよいよ始まる。

結成2シーズン目は互いの信頼感と安定感が高まり、9月の米フロリダ州での初戦ではリズムダンス(RD)1位の84.74点、フリー1位の129.70点で合計214.44点をマークして優勝。国際連盟非公認のスコアながら、2020年12月の全日本選手権の合計151.86点から総合得点で62.58点も上乗せする「進化」を示した。

北京五輪代表選考会を兼ねた今年の全日本選手権(12月22~26日・さいたま)では3連覇中の小松原美里、尊組(倉敷FSC)らと「1枠」を懸けた勝負に挑む。

その「前哨戦」となる11月のグランプリ(GP)シリーズ第4戦のNHK杯(11月12、13日・東京)、ワルシャワ杯(11月18~21日)の連戦はライバル小松原組や海外の強豪も出場を予定しており、急成長する注目カップル「かなだい」組の真価が問われる熱い戦いになりそうだ。

バレエの表現力、肉体改造でリフトも安定感

今季のリズムダンス(RD)は和をテーマにしたソーラン節と琴を用いたヒップホップ調の曲と組み合わせた「Soran Bushi&Koto」。フリーは古代インドを舞台バレエの名曲「ラ・バヤデール」を継続する。中でもユニークな音楽を選択したRDは2人の表現力とパフォーマンスがマッチすれば、大きな旋風を起こす可能性を秘めている。

2010年バンクーバー五輪男子銅メダリストで世界に誇る表現力とスケーティングを持ち合わせる35歳の高橋は、アイスダンサーとして着実に進化を遂げている。

練習にバレエも取り入れ、体のしなやかさや足のつま先まで意識した姿勢と柔軟性を高めたという。5月に主演したアイスショーでは歌やせりふをこなす場面もあり、持ち前の表現力に幅を広げた。

2人が始動した2020年1月に着手した「肉体改造」の成果も一歩ずつ表れ、今季初戦で証明した通り、村元を持ち上げて支える課題のリフトでも安定感が増してきた。2020年12月の全日本選手権では2位に入ったものの、3連覇した小松原組とは23.37点の大差だった。

2人が声をそろえる今季最大の目標は「表彰台の真ん中に立つこと」。2018年平昌五輪アイスダンス代表で28歳の村元との信頼関係も目に見えて高まっており、円熟味を増した滑りと演技力の高さでどんな勝負が展開されるのか注目される。

自信のソーラン節、超進化でレベルアップを

2人は米フロリダ州を練習拠点にし、自らのインスタでは鍛え抜かれた体で激しいウエートトレーニングや懸垂に励む様子も公開。今季初戦の映像を一緒に振り返りながら「成長したと感じる点」として、高橋は「何かやっていけそう!って。これまであまりなかったので」と冗談交じりに謙虚に語る場面も紹介した。

BS放送のインタビューでは和のテイストを盛り込んだ「ソーラン節」のRDについて見どころも解説。終盤のミッドラインステップや難度の高いリフト、細かい技術が凝縮されたツイズルを挙げ、高橋は「自分でもレベルアップしているなって体感しながら練習できている。レベルアップの仕方を半端なくやっていきたい。超進化じゃないけど、『何があったの?』いうくらいなものを見せていくモチベーションでいれば、やっていけるのかな」と手応えをのぞかせて意気込む。

村元も「あらためてアイスダンスが本当に楽しいと今、思えている。大ちゃんと一緒に滑れていることにも感謝の気持ちを忘れず本当に楽しみたい。あまり結果にとらわれず、ステップバイステップで」と笑顔で意欲を口にした。

五輪でメダルを手にした高橋のようなシングル選手が、種目を変えて五輪に再挑戦するのはフィギュアスケート界で極めて異例だろう。そんな困難な道をどこか楽しそうに挑む「かなだい」カップル。夢に見る北京五輪への挑戦がいよいよ佳境を迎える。

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