長期休養乗り越え、フリーで逆転V
体調不良で長期休養した2019~2020年シーズンの厳しい時期を乗り越え、22歳の三原舞依(シスメックス)が心身とも強くなって戻ってきた。
フィギュアスケートの北京冬季五輪テスト大会を兼ねたアジアンオープントロフィーは10月15日、北京の首都体育館で行われ、9選手による女子は2017年四大陸選手権女王の三原がショートプログラム(SP)2位からミスを最小限に抑えてフリーで1位の135.75点をマークし、合計203.58点で逆転優勝。3季ぶりの海外での国際大会で復活を印象付けた。
SP1位の坂本花織(シスメックス)はジャンプが乱れてフリー2位となり、202.28点で2位。男子は18歳の鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)がSPに続いてフリーも1位の179.98点をマークし、合計277.78点で優勝した。17歳の佐藤駿(フジ・コーポレーション)が2位、金博洋(中国)が3位となり、日本勢が男女ともワンツーを飾った。
今大会の三原は紀平梨花(トヨタ自動車)が欠場したことによる代替出場。フリーは冒頭のルッツ―トーループの連続3回転や後半の3回転ルッツからの3連続ジャンプを決めて出来栄え(GOE)の加点を引き出し、ステップやスピンで全て最高難度のレベル4を獲得。2回転のループになった最後のジャンプ以外は演技をうまくまとめた。
所属チームのインスタグラムで「すごく久しぶりの海外での国際大会に出場でき、行きの飛行機に乗る前から本当に嬉しくて楽しみで、とても良い経験ができました。結果には自分でもびっくりですが、演技に対しての悔しさもあり今後の課題を見つけることができたので、次の試合に向けてもっと練習頑張ります!」と振り返った。
バブル方式、指定のマスクで毎日検査も
テスト大会には9カ国・地域から32選手が参加。無観客開催で選手や関係者と外部を隔離する「バブル」方式で本大会に備え、感染症対策や運営方法などをテストした。
マスクの指定もあり、毎日PCR検査を実施する厳戒態勢。一方で、フィギュアのリンクの氷は日に日に滑りやすくなり、会場も広くて温かいと選手には比較的好評だった。三原も五輪初出場を目指し「元気いっぱいまだまだ頑張ります」と、夢舞台への思いをさらに強くしたようだ。
国際オリンピック委員会(IOC)のキット・マコネル競技部長もテスト大会について「新型コロナ対策は非常に強力」と評価し「アスリートからは満場一致で肯定的な評価を受けている。競技を取り巻く組織では北京五輪への機運が高まりつつある」と手応えを語った。
紀平梨花に代わり、スケートカナダにも出場へ
本格化する勝負のシーズンに向け、三原は3枠の北京五輪代表に入ることを当面の目標に掲げる。2018年平昌五輪は前年に韓国の江陵で行われた四大陸選手権を制覇したが、惜しくも初の五輪切符には届かなかった。
今回は2019年3月のユニバーシアード冬季大会(ロシア・クラスノヤルスク)以来、約2年7カ月ぶりの国際大会。全日本選手権2連覇の紀平が右足関節骨軟骨損傷のため、グランプリ(GP)シリーズ第2戦のスケートカナダ(10月29、30日・バンクーバー)を欠場すると発表し、代わりに三原の出場が決まった。
どこまでジャンプの完成度を高め、持ち前の表現力やスケーティング技術とかみ合った演技ができるか。「感謝の思いをしっかり自分のスケートに乗せて、1人でも感動してくださるような演技をしたい」とのコメントを出し、スケート人生の苦境を乗り越えてきた強さを存分に発揮する時が来ている。
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