羽生結弦の17歳のころ以上?堂々の世界デビュー
フィギュアスケート世界選手権(スウェーデン・ストックホルム)男子シングルで、初出場の17歳、鍵山優真(17=星槎国際高横浜)が銀メダルの快挙。日本男子は22年北京冬季五輪の出場枠を最大3枠確保した。
優勝はネイサン・チェン(21=米国)がノーミスの完璧な演技で3連覇を達成。300点越えでジャンプをふんだんに取り込んだプログラムを完璧にこなした。
ショートプログラムで首位だった羽生結弦(26=ANA)はフリーでは「天と地と」を国際舞台で初披露したが、冒頭の4回転ループで着氷が乱れ、4回転サルコーでもバランスを崩し、本来の羽生らしくない演技で3位の銅メダルに終わった。
今までの羽生と何かが違って硬い演技を見ているようだった。対するネイサンはショートプログラムのジャンプの失敗を引きずらず、多数のジャンプをふんだんに取り入れたプログラムで落ち着いたノーミスの滑り。こんなネイサンの演技の後に驚くべき演技を見せた鍵山は今後の急成長株に間違いない。海外メディアでも驚きの声が上がっている。
後半にやや疲れが見えたのか、ジャンプのバランス着地が崩れたものの安定した回転できれいにまとめ、堂々の銀メダルを取った世界デビューは、羽生結弦の17歳のころ以上の器を感じさせる。4回転ジャンプを成功させて190.81点。合計は自己ベストを20点以上も更新する291.77点という堂々たる結果を残した。
現状、4回転はサルコーとトーループの2種類を跳んでいるが、来季はループとルッツの習得に意欲を示しており、北京ではネイサン・チェンを破る可能性を秘めている。本人もびっくりした様子だったが、まだまだ怖い存在になるだろうという期待を大いに持たせる逸材だ。
今大会は、92年アルベールビル、94年リレハンメル両五輪男子シングル代表の父・正和さん(49)が初めて同行した国際舞台で、その父にも褒められたという。「来シーズンは4回転をもう1、2種類は増やしたい」とハングリー精神も旺盛な17歳。これからを背負う日本の新星が、北京五輪へと走り出した大会となった。