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羽生結弦、宇野昌磨を追うフィギュア界の17歳ホープ・鍵山優真の総合力

2021 1/21 19:00田村崇仁
鍵山優真Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

全日本3位、父・正和さんは五輪に2度出場

日本フィギュアスケート界の将来を背負う17歳の鍵山優真(神奈川・星槎国際高横浜)は、2020年の冬季ユース五輪(ローザンヌ=スイス)で金メダルを獲得した次世代のスター候補だ。

2020年12月の全日本選手権(長野市ビッグハット)では5年ぶりの優勝を果たした26歳の羽生結弦(ANA)、5連覇を阻まれて2位となった23歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)に次いで、合計278.79点で3位に入った。

フィギュア全日本選手権男子総合成績


1992年アルベールビル、1994年リレハンメルの両冬季五輪に男子シングルで2度出場、3度の日本一を誇る正和さんを父に持ち、身長160センチと小柄ながらスケートセンスと身体能力の高さは折り紙付き。今季からシニアに転向したばかりのホープは、北京五輪プレシーズンに存在を力強くアピールした。

父親譲りの足腰の強さで高難度ジャンプ成功

父親譲りの足腰の強さを生かしたジャンプの安定感は、全日本選手権のショートプログラム(SP)でも証明した。

NHK杯でグランプリ(GP)シリーズ初出場優勝を遂げた勢いそのままに、4回転サルコーからの連続ジャンプを決めると、高難度ジャンプを次々と成功させて98.60点の高得点で2位発進。「心臓が口から飛び出そうなほど緊張」と笑いながら、NHK杯で転倒した後半のトリプルアクセル(3回転半)も決めて重圧の中でもきっちりノーミスの演技をやり切った。

持ち味である「踊る滑り」までは十分発揮しきれなかったとはいえ、技術点は首位の羽生とわずか0.17点差。両手でガッツポーズをつくって童顔をほころばせた。

フリーは先輩2人の壁を痛感

憧れの羽生、宇野の先輩2人に挑んだフリーでは得点源だった単発の4回転トーループ、3連続ジャンプのミスなどが響き、壁の高さを痛感させられた。

宇野と羽生に挟まれた滑走順で緊張もあったという。冒頭で4回転サルコー、さらに4回転―3回転の2連続トーループを美しく決めた一方、ステップやスピンでレベルも取りこぼした。180.19点で合計278.79点。宇野に6.02点届かなかった。

それでも新型コロナウイルス禍で練習環境を求め、愛知県などに遠征する厳しい状況の中、シニアデビューシーズンながら2年連続で堂々の3位。父との親子制覇には届かなかったが、演技直後のテレビインタビューでは「自分の中で攻めた演技はできたので自分を褒めたい。最後まで諦めずにやれたことは父にもよくやったと褒められた」と納得した表情だった。

強みは総合力の高さ、課題は「鍵山ワールド」

親子鷹が幼少期から続き、二人三脚で鍛練を重ねてきた鍵山の強みは「総合力の高さ」と評する関係者は少なくない。 元トップフィギュアスケーターの町田樹氏も「理想的なジャンプを体現している」と称賛し、癖がなく質が高いフォームを最大の強みと見る。

類いまれなスケーティング技術もオールマイティーに備えており、表現性をさらに高めればシニアで輝ける要素は十分にあるということだろう。

今後の課題は先輩の羽生のようなリンクに立った瞬間にすべての観客を引き込むような自分なりのオーラを放てることか。鍵山本人も演技直後のテレビインタビューで「世界のトップと戦うためにはもっと自分の武器だったり、自分の持っている技を磨き上げないといけない」と自覚している。さらなる成長の鍵はそんな「鍵山ワールド」をアピールすることになる。

挑戦者の精神で世界選手権へ

コロナ禍で不透明だが、3月の世界選手権(ストックホルム)が開催されれば「常にチャレンジャー」の精神で最高峰の舞台に挑むつもりだ。

ジュニア時代の昨季は四大陸選手権3位の実績もあり、ユース五輪の金メダルを含めて大舞台での強さは自信になっている。

全日本選手権では五輪王者の羽生から後輩の鍵山に「今の一番の武器」として「負けん気の強さ」「向上心」「勢い」を大切にしてとエールを送られた。2020年3月の世界ジュニア選手権(タリン=エストニア)は悔しい銀メダルだった。新時代の旗手に名乗りを上げた鍵山の世界への挑戦は始まったばかりだ。

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