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負けず嫌いの宇野昌磨が全日本5連覇を逃しても笑顔の理由

2021 1/11 11:00田村崇仁
宇野昌磨Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

3種類の4回転ジャンプで成長証明

フィギュアスケートの全日本選手権(長野市ビッグハット)で今季初戦となった23歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)は合計284.81点で2位となり、史上3人目となる5連覇には届かなかった。

冬季五輪2連覇中の羽生結弦(ANA)が合計319.36点で5年ぶりの5度目の優勝を成し遂げ、その圧巻の演技に改めて「僕の目標」と実感した形だが、表情は晴れやかだった。

フィギュア全日本選手権男子総合成績


新型コロナウイルス禍で約10カ月ぶりとなった実戦を心の底から楽しみ、フリーでは3種類の4回転ジャンプ成功で着実な成長も証明した。会場の温かな手拍子に包まれた演技直後のテレビインタビューでは「すごく楽しく滑ることができた。うれしかったですし、楽しかった」と笑顔で振り返る姿が印象的だった。

機転利かせた4回転トーループ

出遅れたショートプログラム(SP)3位からの逆転を期したフリー「ダンシング・オン・マイ・オウン」の演技を終えると、2018年平昌五輪銀メダルの宇野は派手なガッツポーズを繰り出し、氷上を跳び上がって喜びを表現した。

冒頭で前年の全日本では組み込めなかった4回転サルコー、続く4回転フリップを成功させた。3つ目に予定した4回転トーループで回転が抜けて3回転になるミスが出たが、機転を利かせて演技構成を変更。SPでは転倒している4回転トーループを基礎点が1.1倍になる演技後半に再び挑み、リカバーした。当初の3回転サルコーー3回転トーループから、4回転トーループー1回転トーループに即決で組み替え、スケーティングの滑らかさと伸びも際立っていた。

「思いがけぬ構成変更で体力がもっていかれた」と直後のテレビインタビューでは苦笑交じりに心境を明かしたが、果敢に攻めて演技後半の4回転トーループを跳べたことに満足感を隠さなかった。

名古屋のアイスショーで新年の初滑り

2021年の新年は1月4日に名古屋市で開かれたアイスショーに登場し、初滑りを披露した。

女子で全日本2連覇を達成した紀平梨花(トヨタ自動車)らとともに、オープニングでは出演者が女性アイドルグループ「NiZiU」の曲に乗せて「縄跳びダンス」のパフォーマンスも。大トリを飾った宇野は情感豊かな滑りで魅了し、フィナーレでは4回転トーループを降りて会場から拍手喝采を浴びた。

ランビエル氏と二人三脚で世界選手権へ

2006年トリノ冬季五輪銀メダルのステファン・ランビエル氏が正式にコーチとなり、スイスを練習拠点にコロナ禍の中でも一歩ずつ前進した2020年。大会の中止や延期が相次ぎ、目標を見失いかけた時期もあったが、世界選手権(3月・ストックホルム)の代表にも決まり、宇野は今、競技に打ち込める喜びと感謝、そんな充実感にあふれている。

そして全日本でその強さと存在感を強烈に印象付けた五輪王者、羽生へのリスペクトと競技人生最大の目標とする思いを新たにした。

自他共に認める「負けず嫌い」という性格の宇野の再出発。ランビエル氏との二人三脚で表現力に加え、技術的にも4回転ジャンプがよりコンパクトになり、回転のまとめ方が向上しているという自覚もある。スピンやステップなど細かい要素にさらなる磨きを掛け、笑顔を取り戻した宇野は「挑戦者」として世界選手権に臨む。

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