カヌーの強さは圧倒的な国「ドイツ」
カヌーは、ヨーロッパ発祥(発祥国はイギリス)の水上スポーツです。ヨーロッパの中でもカヌー競技で圧倒的な強さを誇るのはドイツです。強さの理由はいろいろありますが、まずドイツの国内でカヌーはとてもポピュラーなスポーツで、競技人口も多いことが挙げられます。
ドイツ人は背が高く肉体も強いイメージがあると思いますが、ヨーロッパは施設が充実していることから、練習の環境が非常に整っていると言えます。日本にはカヌーの優れた施設やコーチが少ないということに比べ、ドイツはEUという欧州の共同体を利用し、得意分野のカヌー競技を伸ばしていったという背景があるのです。
オリンピックでは、過去に金32・銀18・銅20の計70個ものメダルを獲得しており、金メダルの獲得数は歴代1位です。
かつては五輪常連のカヌー強豪国だった「ソビエト連邦」
ソビエト連邦は、1991年に崩壊するまでの間、カヌーの強豪国でした。オリンピックではソウル大会が最後になりました。ソ連では、社会主義体制の下、国家が選手を養成するステート・アマ体制で育成されたスポーツ選手が、国家の威信を持って各大会に参加していた背景があります。どのスポーツにも力を入れていたソ連ですが、カヌーもそのうちの1つだったと言えるでしょう。
旧ソ連の現在の中心となっているロシアは、ドーピング問題に揺れ、ソ連時代に比べると勢いに陰りが出てきたりはしているものの、カヌー世界王者のアンドレイ・クライトル選手を輩出するなどの強さを誇っています。
国が選手を育てて強豪国となった「ハンガリー」
ハンガリーは、五輪のカヌー競技において、メダル獲得総数が世界第1位のカヌー強豪国です。リオ五輪前までの獲得総数は、何と計80個!ドイツの総数70個を10個も上回っています。
ハンガリーは、古くからカヌー先進国として活躍してきました。ハンガリーにはカヌーのクラブチームが80チームもあり、そのうち首都ブダペストには12チームがあります。国内で人気のカヌーに非常に力を入れており、10代前半の子供が幼い頃からカヌーに親しむプログラムがあるなど、カヌーの教育が充実しています。このように国自体が選手を育てる姿勢が、強豪国を作り上げたと言っても過言ではありません。
国民はカヌーが大好き「カナダ」
カナダは、湖や川などの水路が多い国です。カヌー競技にカナディアンという部門があることからもわかるように、カナダ人にとってのカヌーは、日本で言う自転車と同様に庶民になじみのある乗り物です。カヌーに荷物を積み込んで、家族で乗って楽しんだりしています。カヌーで訪れられる観光地も多くあり、カヌーに乗りながら、ウィスラー、カナディアンロッキーなどの景色を楽しむこともできます。
競技としてのカヌーも盛んな国で、ヨーロッパの国々以外でまず名前が挙がるのがカナダです。カナダ人にとって、カヌーは慣れ親しんだスポーツであり、関心や人気が高い競技のひとつです。オリンピックでも過去に24個のメダルを獲得をしています。
カヌーはアジア、日本ではどうなのか?
ヨーロッパや南米の国々と比較すると、アジアの国々や日本は、まだ歴史が浅く足元にも及ばないという印象です。しかし、さまざまなスポーツを国をあげて強化してきた中国は、カヌーカナディアン500mペアで孟関良、楊文軍ペアがアテネ、北京五輪で金メダルに輝いています。また、中国最大のスポーツの祭典である中華人民共和国全国運動会でもカヌー競技が行われています。
日本でも近年は、娯楽のひとつとしてカヌーを楽しむ人が増えてきており、指導者も育ってきました。日本のカヌー競技の指導の成果のひとつとして、リオ五輪では羽根田卓也選手(ミキハウス)がスラローム男子カナディアンシングルで銅メダルを獲得し、日本人初のカヌー競技メダリストとなりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
カヌー競技の強豪国は、主にドイツをはじめとするヨーロッパに集中していますが、近年は日本でも趣味でカヌーを始める人が増えてきており、今後の発展が期待される競技のひとつです。
ぜひ一度、カヌー競技をご覧になってみてください!