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いま大注目のカヌー競技の起源や歴史をご紹介します

2016 12/16 11:07
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Photo by Neil Lockhart / Shutterstock.com

2016年に開催されたリオデジャネイロオリンピックで、羽根田卓也選手が日本人初のメダルを獲得して注目されている“カヌー競技”。 そこで、この記事では、“カヌー”の起源から歴史、競技としての成り立ちなどをご紹介していきます。

さまざまな説がある“カヌー”の起源とは

現在の“カヌー”はスポーツやレジャーなどで使われていますが、元々は人類の生活に必要な道具として誕生しました。そのため、世界中によく似た手こぎのカヌーが存在しており、どれが起源であるかは明確に特定できていません。一般的にはエジプトから中央アジア、オセアニア地域、そして東南アジアあたりが起源と考えられています。
現在もっとも古いカヌーは、約6000年前にユーフラテス川の河畔に造られた王墓から見つかっています。また、アメリカのインディアンが使用した小舟や南太平洋ポリネシアのカヌーなど、世界中のさまざまな場所で古いカヌーが出土しています。

“カヌー”という定義の難しさとは

ひとえに“カヌー”と言っても、実は明確な定義がありませんが、一般的にはパドルを用いて水をかき、前に進む船を指すという考え方が浸透しています。
しかし、帆を立てて進むオセアニアの船や、足で操作するミクロネシアの航海カヌーもあるため、“カヌー”という呼び名には幅広いタイプとジャンルが存在しています。それは、“カヌー”という言葉が「ヨーロッパ人が使う船ではないもの」という意味で、大ざっぱに使用されていたためとされています。
日本のカヌー界では「カヌー」と「アウトリガーカヌー」で区別し、、またカヌーやカヤックで行うスポーツのことを「パドルスポーツ」とも呼んでいます。

世界中で発展した“カヌー”の特徴とは

世界中に存在している“カヌー”には地域ごとに特徴があります。
たとえば、北アメリカでは丸太をくり抜いたインディアンが使用した丸木舟や、ハイダ族やトリンギット族などが使用した針葉樹を加工して作ったカヌーなどがあります。ミクロネシアでは“パンノキ”を船体に使用したカヌーが有名です。東南アジアでは「シングル・アウトリガーカヌー」だけでなく「ダブル・アウトリガーカヌー」も使用しています。ポリネシアでは「ダブル・カヌー」の使用が多く一般的です。
また、日本でもさまざまな場所でカヌーが使用されていました。特に北海道や千島列島などの北方では、「チプ」など独自のカヌーが存在していました。

スポーツとしての“カヌー”の歴史とは

生活の道具だったカヌーが発展してスポーツとなった“近代カヌー”。スポーツとして発展していく基礎となったのは、カヌーが人気となった19世紀頃のイギリスで、1866年にはテムズ川で初めてのレースが開催されました。
その後、1924年にICF(国際カヌー連盟)が設立され、1930年には第1回世界選手権大会がスタート。ドイツで開催された1936年の第11回ベルリンオリンピックで、“カヌー”が正式競技として採用されました。

日本でのスポーツとしての“カヌー競技”の広がり

日本でのカヌー競技の成り立ちは、1940年に予定されていた東京オリンピックが原点。オリンピックの準備のため、ドイツのベルリンからカヤック艇を持ち帰ったのが始まりです。1938年には“日本カヌー協会”が設立。本格的にカヌー競技がスタートする予定でしたが、惜しくも第二次世界大戦が勃発。東京オリンピックが中止となり、カヌー競技の活動も消滅しました。
その後、戦争が終わり、離脱していた“国際カヌー連盟”に復帰。1960年には“日本カヌー協会”が復活しました。そして、1964年の東京オリンピックでは「フラットウォーターレーシング」が正式種目として採用。国内でカヌー競技が普及する基礎となりました。

まとめ

もともと生活するために必要な道具だった“カヌー”は、さまざまな種類が世界中に存在しています。 生活の道具がやがてはスポーツへと発展し、ヨーロッパでは人気の競技となっています。 日本人も初めてメダルを獲得したことから、次の東京オリンピックでも注目されている競技です。