キックボクシングと総合格闘技の競技の違いとは?
キックボクシングと総合格闘技を比較すると言っても、それぞれルールの違いがある。キックボクシングはパンチ、キックを使って戦う打撃のみが基本で、団体によっては膝、肘が使えるルールもある。タイのムエタイに対抗して考えられた日本発祥の競技で、投げ技、立った状態で関節技が使えるシュートボクシングもある。
総合格闘技(MMA)は、立ちながら、寝ながらのパンチ、キック、膝、肘、関節技が使える。こちらも団体によっては肘が禁止されたり、寝ながらの膝が禁止されたりしている。戦いの場も金網とリングの違いがある。比較すると関節技の有無が大きな違いになりそうだ。
総合格闘技で活躍するキックボクシング出身の選手
実は既に総合格闘技に参加して活躍したキックボクシング出身の選手がいる。中でも日本で一番知られているのが、PRIDE、UFC、RIZINなどの団体で大活躍したミルコ・クロコップ。ミルコはPRIDE、RIZINの無差別級グランプリを制覇している。
また、キックボクシングで8年間無敗と無敵を誇っていたモーリス・スミスは、黎明期のUFCの大会に参加して、UFCヘビー級王座の獲得にも成功。最近では元K-1MAX王者であるアンディ・サワーがRIZINに参戦している。
総合格闘技の大会によっては、1ラウンドが立ち技のみ、2ラウンド目がMMAルールと、交互にルールが変わるMIXルールで行われることもある。
キックボクシングのリングに立った総合格闘技の選手
逆にキックボクシングに参加して活躍した総合格闘技の選手も存在する。
アリスター・オーフレイムは、K-1に参戦して、2008年に当時勢いに乗っていたバダ・ハリからKO勝利、2010年にはグランプリを制覇した。
日本人では川尻達也が「Dynamite!! ~勇気のチカラ2008~」で武田幸三とK-1ルールで対戦してTKO勝利を収めている。2009年にはK-1MAX王者の魔裟斗と対戦したが、2RTKO負けを喫した。
また、2016年の大晦日にK-1ルールで対戦した魔裟斗vs五味隆典(結果は引き分け)の試合は記憶に新しい。
日本人期待の神童・那須川天心が総合格闘技のRIZINに参戦
2016年の年末に行われた総合格闘技のRIZINに、キックボクシングで「神童」と呼ばれ大活躍している那須川天心が初参戦した。
天心は12月29日に1RパウンドによるKO勝利を収めると、リング上で31日の大会参戦を直訴し、大晦日にデビュー2戦目を戦った。結果は2Rニンジャチョークで、なんと関節技で一本勝ち。共に無名選手が相手だった、この圧勝劇は今後に期待を抱かせた。
キックボクシング出身の選手が総合格闘技のリングで活躍するには、ルールの違いに適応できるかが焦点になるが、天心は総合格闘技でも活躍できるポテンシャルを持っているようだ。
もしもキックボクシングと総合格闘技の最強選手同士が対決したら…
たとえば、もしも全盛期のピーター・アーツとエメリヤーエンコ・ヒョードルが対戦したら…どうなるのだろうか。
アーツはK-1で、ヒョードルはPRIDEで絶対的な強さを誇った選手。キックボクシングルールでは、立ち技で圧倒的な強さを誇ったアーツが有利と見る。総合格闘技ルールでは、寝技に持ち込めるヒョードル選手が有利と見る。
ただ、一発が勝負を左右するため、何が起こるかわからないのは確か。アーツは引退前に総合格闘技の大会に参加して敗戦もしているが、全盛期なら結果は違っていたのかもしれない。
いずれにせよ、適応力がポイントだろう。ミルコは以前、キックと総合の試合では練習の仕方がまるで変わってくると語っていた。今後もお互いのスター選手同士の対戦実現に期待したい。