世界戦23連勝なら三たびPFP1位に返り咲きも
プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)が3日、東京・有明アリーナで元IBF同級王者テレンス・ジョン・ドヘニー(37=アイルランド)との防衛戦に臨む。
2日の前日計量では井上がリミットの55.3キロ、ドヘニーは200グラム軽い55.1キロで一発クリア。フェイスオフで睨み合った後は握手を交わし、健闘を誓い合った。
井上はプロ6戦目でWBCライトフライ級王座を奪ってからスーパーフライ級、バンタム級、スーパーバンタム級と階級を上げながら世界戦22連勝(20KO)。ドヘニーに勝てば日本選手の世界戦単独トップの23勝目になると同時に、世界戦23連勝で世界歴代単独5位に浮上する。
世界で最も権威があるとされるアメリカのボクシング誌「ザ・リング」が認定するパウンド・フォー・パウンド(PFP)で2位にランクされ、今回の結果次第で三たび1位に返り咲く可能性もある。
現役では全階級を通じてトップクラスであることは誰もが認めるところだが、長いボクシングの歴史上でも偉大な王者として名を連ねることになる。世界戦連勝ランキングは以下の通りだ。
歴代1位はジョー・ルイスとメイウェザーの26連勝
歴代1位は25度防衛の世界記録を持つ元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(アメリカ)。1937年にジェームズ・ブラドッグを8回KOしてベルトを奪い、1948年6月にジャーシー・ジョー・ウォルコットとの再戦で11回KO勝ちするまで26連勝をマークした。現在も史上最高のヘビー級王者の一人に挙げられている。
ボクシング転向前の那須川天心とエキシビションで戦うなど日本でもお馴染みのフロイド・メイウェザー・ジュニア(アメリカ)もルイスと並んで26連勝の世界記録を持つ。
1998年にヘナロ・エルナンデス(アメリカ)を9回TKOで下してWBCスーパーフェザー級王座を奪うと、ライト級、スーパーライト級、ウェルター級、スーパーウェルター級と5階級制覇。2015年にアンドレ・ベルト(アメリカ)を判定で下すまで26連勝を飾った。50戦全勝(27KO)と負け知らずのまま引退した。
3位のフリオ・セサール・チャベスは1980年代半ばから90年代にかけて中量級で無敵を誇ったメキシコの英雄だ。1984年にマリオ・マルチネス(メキシコ)に8回TKO勝ちでWBCスーパーフェザー級王座を奪い、ライト級、スーパーライト級と3階級制覇。1994年にWBCスーパーライト級王座13度目の防衛戦でフランキー・ランドール(アメリカ)にプロ91戦目の初黒星を喫するまで世界戦25連勝をマークした。
ダリウス・ミハエルゾウスキー(ポーランド)はドイツでプロデビューし、1994年にリーオンザー・バーバーを判定で下してWBOライトヘビー級王座獲得。WBOクルーザー級王座も奪って2階級制覇し、2003年にフリオ・セサール・ゴンザレス(メキシコ)に敗れてベルトを失うまで23度防衛、世界戦25連勝を果たした。23度の防衛はジョー・ルイスに次ぐ歴代2位となっている。
井上尚弥は来年中に歴代1位に並ぶ可能性も
井上と5位で並ぶスベン・オットケ(ドイツ)はアマチュアで300戦以上して29歳でプロ転向。1998年にチャールズ・ブルワー(アメリカ)に判定勝ちでIBFスーパーミドル級王座を獲得し、2004年にアルマンド・クラインク(スウェーデン)を下して21度目の防衛を果たすまで世界戦22連勝をマークし、34戦無敗のまま引退した。
ジョー・カルザゲ(イギリス)は1997年、クリス・ユーバンク(イギリス)に判定勝ちでWBOスーパーミドル級王座に就くと、2007年のミッケル・ケスラー(デンマーク)戦まで世界戦22連勝。2008年にはノンタイトル戦でバーナード・ホプキンス(アメリカ)、ロイ・ジョーンズ・ジュニア(アメリカ)の強豪に連勝し、46戦全勝(32KO)のパーフェクトレコードを残して引退した。
井上はドヘニーに勝てば世界戦23連勝で単独5位に浮上。年内にもう1試合こなし、来年中にはジョー・ルイスやメイウェザーに並ぶ可能性がある。日本が誇るモンスターは歴史上の「偉人」の域に達しようとしている。
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