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データが証明する那須川天心の「進化」、スタイルチェンジで戦国バンタム級に殴り込み

2024 7/24 06:30SPAIA編集部
那須川天心のロドリゲス戦データ,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

世界4位ロドリゲスに何もさせず会心KO勝利

プロボクシングのWBAバンタム級7位・那須川天心(25=帝拳)が7月20日のボクシング転向4戦目で同級4位ジョナサン・ロドリゲス(25=アメリカ)に3回1分49秒TKO勝利を収めた。

バンタム級リミットより2ポンド重い120ポンド(54.4キロ)契約で行われた10回戦。天心は立ち上がりから相手にプレッシャーをかけ自分のペースに持ち込む。2回終了間際には強烈な左ストレートが顎を捉え、ロドリゲスが腰を落とすと天心はロープに詰めて猛ラッシュ。ダウンこそ奪えなかったが、大きなダメージを与えた。

続く3回、またしても左ストレートをクリーンヒットすると、左アッパーから右フック、最後は再び左ストレートでダウン。ロドリゲスは立ち上がったもののセコンドが棄権を申し出てレフェリーが試合を止めた。

キックボクシングからボクシングに転向して2戦は判定勝ち。前回初めてのKO勝利を挙げたとはいえ、ダウンシーンのない、相手のギブアップによるTKOだった。

試合の流れの中で、コンビネーションでダウンを奪ってのKO勝ちは初めて。過去3戦はテクニックは誰もが認めるものの迫力不足は否めなかったが、今回は明らかに力強さを増しており、世界4位に何もさせなかった。

本人も相当嬉しかったのだろう。試合後のリング上では「やっと、やりましたよ!KOできないって言った人、誰ですか。この日のために毎日、心を整えてやってきたので良い成果が出て嬉しいです。進化できたと思います」と声を弾ませた。

進化―。試合を見ただけではどこがどう変わったのか分かりにくいが、SPAIAが独自に集計したデータにはハッキリと表れていた。

那須川天心のロドリゲス戦インフォグラフィック

力強い左ストレートが大幅増加

今回の試合で天心が放ったパンチは109発。うち45発が有効打だった。同じく3回TKOだった前回のロブレス戦は163発中、有効打は48発。手数は今回の方が少ないが、有効打の割合は前回の29.4%から41.3%と大幅に上昇している。相手が出てこなかったこともあるとはいえ、それだけ“無駄打ち”していないということだ。

逆にロドリゲスが放ったパンチは46発で有効打はわずか3発。ロブレスは100発中7発だったからパンチ数自体が半分以下で、ロドリゲスに反撃の機会すら与えない“完封勝利”だったことが分かる。実際、ロドリゲスの見せ場と言えば、天心の足を踏んでスリップダウンさせたことくらいだろう。

さらに大きく違うのはパンチの種類だ。前回ロブレス戦はジャブが61.3%を占めており、ストレートは6.1%しかなかったが、今回のロドリゲス戦はジャブが43.1%、ストレートが32.1%とストレートが大幅に増えている。

前回は右ジャブ一本で相手をコントロールしたと言えば聞こえはいいが、裏を返せばディフェンシブで物足りなさを感じさせる一因でもあった。

しかし、今回は左足を踏ん張り、体重を乗せた左ストレートを多用。下がることなくパワーで押したことが会心のノックアウトにつながったのだ。本人も「自分の型が完成してきた」と話していた通り、アウトボクサーからボクサーファイターにスタイルチェンジしたと言えるだろう。

>>>前回ロブレス戦の詳細なデータはこちら

日本人が4団体王座を独占するバンタム級

データが証明した天心の「進化」。ロドリゲスはWBAスーパーフライ級王座を5度防衛したカリド・ヤファイ(イギリス)に勝った実績を持ち、決して弱い選手ではない。その相手に圧勝したことで、天心の世界ランキングはさらに上がると見られる。

奇しくもバンタム級は主要4団体とも日本人が王座に君臨。この日のメインイベントで1回KO勝ちしたWBC王者・中谷潤人(26=M.T)、中谷が対戦を希望しているWBA王者・井上拓真(28=大橋)、この日はリングサイドから観戦していたIBF王者・西田凌佑(27=六島)、15連続KOの日本タイ記録を持つ比嘉大吾と9月3日に初防衛戦を行うWBO王者・武居由樹(28=大橋)と猛者揃いだ。

豪快なKO勝利でアピールに成功し、戦国バンタム級に割って入る存在となった天心。井上尚弥が抜けた群雄割拠の118ポンド級で最強は誰か。今後がますます楽しみになってきた。

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