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タパレスが「打倒・井上尚弥」を果たすには?ボクシング4団体統一戦あすゴング

2023 12/25 06:00SPAIA編集部
井上尚弥とマーロン・タパレス,ⒸLemino/SECOND CAREER
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ⒸLemino/SECOND CAREER

日本人に5戦4勝のタパレス

26日に行われるプロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦に臨むWBC・WBO王者・井上尚弥(30=大橋)とWBA・IBF王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)が24日、横浜市内で会見した。

それぞれ2本ずつのベルトを持つ2人は頬がこけ、計量前日ならではの緊張感あふれる表情。勝てば一気に4団体統一王者となるだけに当然だろう。

タパレスは2016年7月にWBOバンタム王座を獲得。2017年4月の大森将平戦でウェイトオーバーのため王座を剥奪(試合は11回TKO勝ち)され、1階級上のスーパーバンタム級に転向した。

2019年12月にはIBFスーパーバンタム級暫定王座決定戦で岩佐亮佑に11回TKO負けしたが、2023年4月にWBA・IBFスーパーバンタム級王者ムロジョン・アフマダリエフに2-1の判定勝ちを収めて2階級制覇を果たした。

ここまで37勝(19KO)3敗。木村隼人、勅使河原弘晶とも対戦経験があり、日本人選手には5戦して4勝(3KO)1敗の成績を残している。右フックに一打必倒のパワーを秘めるサウスポーだ。

カギはタパレス得意の右フックを当てるための捨てパンチ

井上の有利は不動だが、ボクシングに絶対はない。タパレスがビッグアップセットを起こすとしたらどんな展開だろうか。

タパレスは身長163センチ、リーチ165センチで、身長165センチ、リーチ171センチの井上より小さい。それほどフットワークを使うタイプでもなく、ベタ足で左右のパンチを強振することが多い。

ディフェンシブに距離を取って戦っても、前戦で自分より大きいスティーブン・フルトンを倒した井上の強打を12ラウンドかわし切ることは不可能だろう。

リスクは高いが、モンスターに勝つためには距離を詰めてノックアウトを狙うしかない。最大の武器である右フックを当てるため、カギにになるのは「捨てパンチ」だ。

井上は凄まじい攻撃力を持っているため目立たないが、ディフェンスも超一流。まともにクリーンヒットをもらうことは滅多にない。ノニト・ドネアとの第1戦で左フックを受けて右まぶたをカットしたのが唯一と言ってもいいだろう。

タパレスが右フックを狙いすぎると当たらない。距離を詰め、コンビネーションの流れの中で渾身の一発を当てれば、井上の初めてのダウンシーンが訪れる可能性もゼロではないはずだ。

そのためには左右のパンチを強振するのではなく、力まずスピーディーにパンチをまとめる必要がある。ジャブやストレート、アッパーなどあらゆるパンチを顔面とボディーに打ち分けながら、右フックを当てるための伏線を張るのだ。

タパレスの勝負は1ラウンド

もちろん、そんなシナリオが思い通りに進む可能性は低いと言わざるを得ない。しかし、中途半端な距離で戦うと井上の餌食になる。ガードは絶対に下げず、被弾を最小限に留めながら思い切って勝負をかけるしかないだろう。

パンチを打てば井上がドネア戦のように出血するかも知れないし、どんなアクシデントが起こるか分からない。世界を驚かせるだけのパワーをタパレスは持っている。

特に重要なのは1ラウンドだ。大番狂わせの主役となるには、最初の3分間に全てを出し切るくらいの姿勢を見せないと厳しい戦いを強いられることは明白。もし、タパレスが1ラウンドのポイントを取ることができれば、試合は面白くなる。

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