サンティアゴに勝てば日本人男子7人目の3階級制覇
プロボクシングの世界2階級王者・中谷潤人(25=M.T)が3階級制覇に挑む。2024年2月24日、東京・両国国技館でWBC世界バンタム級王者アレハンドロ・サンティアゴ(27=メキシコ)に挑戦。勝てばWBOフライ級、WBOスーパーフライ級に続くタイトル奪取で、亀田興毅、井岡一翔、八重樫東、長谷川穂積、井上尚弥、田中恒成に続いて日本人男子7人目の3階級制覇となる。
中谷は172センチと軽量級にしては長身のサウスポー。中学卒業後に単身アメリカ留学し、帰国後に17歳でプロデビューすると2020年11月にジーメル・マグラモ(フィリピン)に8回KO勝ちしてWBOフライ級王座を獲得した。
2度防衛後、2023年5月にはボクシングの本場アメリカ・ラスベガスのリングでアンドリュー・モロニー(オーストラリア)を12回KOしてWBOスーパーフライ級王座も獲得。目の肥えたファンをうならせる見事なノックアウトで世界的評価を高めた。
ここまで26戦全勝(19KO)。無敗のまま3階級制覇を達成すれば井上尚弥、田中恒成に続いて3人目だ。
辰吉、長谷川、山中らが激闘を演じてきたWBCバンタム級
中谷が挑むサンティアゴは、井上尚弥が返上したWBCバンタム級タイトルを2023年7月にノニト・ドネア(フィリピン)と争い判定勝ち。井上と2度の激闘を繰り広げた元5階級王者と真正面から打ち合って勝利をもぎ取ったパンチャーだ。
戦績は28勝(14KO)3敗5分け。頑丈で歴戦の強者といった雰囲気だが、身長159センチと小柄でフットワークはないため、中谷が身長差、リーチ差を活かしてロングレンジで戦えば勝機は十分にある。3階級制覇の可能性は高いだろう。
WBCバンタム級と言えば、これまで日本の名王者が名を連ねてきた。1990年代に絶大な人気を誇った「カリスマ」辰吉丈一郎は3度ベルトを巻いた。その辰吉を破った薬師寺保栄との統一戦は今も語り草だ。
さらに10度防衛した長谷川穂積、具志堅用高の日本記録にあと1と迫る12度防衛を果たした山中慎介、4団体統一した井上尚弥ももちろん緑のベルトを巻いている。
勝てばWBA王者・井上拓真と統一戦も
中谷は12月14日の会見で「WBCバンタム級は小さい頃から見てきたベルト。目標のひとつのタイトルなので嬉しいし光栄です。こういった舞台に立てることを小さい頃の自分に教えてあげたい」と高揚する胸の内を明かした。
会見では統一戦への意欲も示しており、同じ日のリングでジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との初防衛戦に臨むWBAバンタム級王者・井上拓真(27=大橋)と今後、戦う可能性もある。
以前に5階級制覇を口にしたこともある中谷にとって、今回の一戦は通過点に過ぎない。栄光のWBCバンタム級王座を獲って史上7人目の3階級制覇を果たしても、数ある勲章のひとつでしかないのだ。いまだ底を見せていないポテンシャルの持ち主が、今度はどんな試合でファンを魅了するのか楽しみでならない。
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