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那須川天心は待望のKOなるか?初の世界ランカーと試金石のボクシング3戦目

2023 12/15 06:30SPAIA編集部
那須川天心,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2024年1月23日にWBAバンタム級13位ロブレスと対戦

キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心(25=帝拳)が2024年1月23日にエディオンアリーナ大阪でボクシング3戦目に臨む。相手はWBAバンタム級13位、WBO同級14位のルイス・ロブレス(25=メキシコ)。初めて迎える世界ランカーだ。

今年4月の与那覇勇気(真正)との6回戦、9月のルイス・グスマン(メキシコ)との8回戦はいずれも判定勝ち。過去2戦はスーパーバンタム級(122ポンド=55.34キロ以下)で戦ったが、今回は1ポンド軽い54.8キロ契約の8回戦。世界に向けて1階級下のバンタム級(118ポンド=53.52キロ以下)も視野に入れ、ベストウェイトを探る意味合いもあるだろう。

天心は現在、日本スーパーバンタム級7位、東洋太平洋同級6位、WBOアジアパシフィック同級5位、WBC同級39位にランク。今回の一戦で世界ランカーに勝てば、各ランキングが上がるのは間違いない。

12月14日に行われた会見では「今までより強敵だなと感じてるので、どれだけの差を見せられるか。自分よりランキングは上の選手だが、前回に続いて今回もルイスなので“ルイス狩り”をしっかりとしていきたい」と意気込んだ。

前半でペースをつかめば初のKO勝利も

ルイス・ロブレスは世界ランカーとはいえ、戦績は15勝(5KO)2敗1分と平凡で、決してやりにくい相手ではない。右構えのファイターだがパワーはなく、前進しながら手数で押すタイプのため、華麗なフットワークとテクニックを駆使する天心とは噛み合いそうだ。

前半から天心がポイントを奪って相手の焦りを誘えれば、終盤に前に出てきたところにカウンターを決めてノックアウトという展開も期待できる。天心は自分から前に出るタイプではないが、出てくる相手を迎え撃つのは得意。初のKO勝利のためには前半でポイントを取って自分のペースに持ち込むことが条件だろう。

裏を返せば、前半で相手にペースを奪われ、乱戦に巻き込まれると厳しい展開になることもあり得る。負けられないのはもちろんだが、勝ったとしても僅差の判定では世界を獲れる器かどうかという点で懐疑的な見方が増える。少なくともダウンを奪っての明確な判定勝ち、ベストはやはりKO勝ちだ。

左拳骨折も怪我の功名「スタミナついた」

天心は前回の試合で左拳を骨折。「2カ月ちょいくらい、手を使えなかった。2つのうちの1つしか使えないので、シャドーや走り込みをしたおかげでスタミナもついた」と怪我の功名を明かす。

帝拳の大先輩で現帝拳プロモーション代表の浜田剛史氏は現役時代、天心と同じサウスポーで、左拳を4度骨折しながら世界王座に上り詰めたファイター。左手を骨折しても右手でサンドバックを叩き続け、黙々とトレーニングに励んだ逸話は有名だ。

「進化している姿を見せたい。時間をかけて着実に成長している」と自信を口にした天心。テクニックやファンを魅了するパフォーマンス、言動は誰もが認めるところだが、今回は倒し切らないと、モヤモヤするような判定勝利では商品価値が下がるのは避けられない。今後のボクサー人生を左右する一戦と言っても過言ではない。

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