5回に左ボディ炸裂
プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者・中谷潤人(25=M.T)が18日、東京・有明アリーナで初防衛戦に臨み、同級6位アルヒ・コルテス(28=メキシコ)に大差の判定勝ちを収めた。
スーパーフライ級としては長身の172センチと体格面で優位に立つ中谷は、サウスポースタイルからロングレンジで左右のパンチを決め、立ち上がりからペースをつかむ。5回には左ストレートを顔面にヒットした後、ガードを上げた挑戦者のみぞおちに左アッパーを決めてこの試合最初のダウンを奪った。
さらに、立ち上がったコルテスに連打をまとめて2度目のダウンを奪取。この回は終了のゴングに救われたコルテスから6回に強烈な右を浴びてぐらつくシーンもあったが、以降は終始安定した試合運び。9回にも左ボディブローで3度目のダウンを奪うと、最終12回はノックアウトを狙って猛攻撃を仕掛けたが、タフなコルテスを倒し切れず、終了のゴングを聞いた。
ジャッジ3人のスコアは119-106が2人に118-107が1人と一方的。大差判定でベルトを守った中谷は「12ラウンドはノックアウトする気持ちで出たけど、コルテス選手はキャリアもあっていい選手でした」と余裕のコメントで笑顔を見せた。
次戦以降に期待される統一戦と3階級制覇
三重県出身の中谷は中学卒業後に単身アメリカ留学。名トレーナーのルディ・エルナンデスらの指導を受け、2020年11月にジーメル・マグラモ(フィリピン)に8回KO勝ちしてWBOフライ級王座を獲得した。
2度防衛後に王座返上し、1階級上のスーパーフライ級に転向。WBO1位となって当時王者だった井岡一翔(34=志成)との対戦が期待されたが、井岡がベルトを返上したためアンドリュー・モロニー(オーストラリア)との王座決定戦に臨んだのが今年5月だった。
結果はアメリカ・ラスベガスの目の肥えたファンを驚愕させる12回KO勝ち。世界的評価を高める勝利で2階級制覇を果たした。
スーパーフライ級はWBAが井岡、WBCが同級最強の呼び声高いファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)、IBFが15戦全勝(8KO)のフェルナンド・マルティネスがタイトルを持っている。この日の勝利で無敗レコードを26勝(19KO)に伸ばした中谷は、間違いなくスーパーフライ級戦線の中心となり得る実力を持つ。
2階級上のスーパーバンタム級王者・井上尚弥(30=大橋)は身長165センチ。単純比較はできないとはいえ、中谷は体のサイズ、スピード、パワー、いずれを見てもまだまだ昇級可能だ。フェザー級まで5階級制覇を期待する声もあり、負け知らずの25歳の今後が楽しみでならない。
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