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中谷潤人が12回KOで2階級制覇!一気にスーパーフライ級の主役へ

2023 5/22 06:00SPAIA編集部
アンドリュー・モロニーをKOした中谷潤人,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

モロニーから3度ダウン奪う快勝で無傷の25連勝

プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦が5月20日(日本時間21日)、米ラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナで行われ、同級1位・中谷潤人(25=M・T)が同級2位アンドリュー・モロニー(32=オーストラリア)に12回KO勝ちし、新王者となった。

井岡一翔(34=志成)の王座返上によって実施された決定戦。モロニーは元WBAスーパーフライ級王者で、井岡と引き分けたジョシュア・フランコ(27=アメリカ)に敗れている。双子の兄ジェイソン・モロニーは井上尚弥(30=大橋)にKO負けした後、今年5月13日にWBOバンタム級王座に就いた。

中谷にとって決して簡単な相手ではなかったが、だからこそ結果的には「ネクストモンスター」と呼ばれる長身サウスポーの強さが際立つ結果となった。

2回に左アッパーのダブルから右アッパーで最初のダウンを奪うと、11回には左ストレートでモロニーを吹っ飛ばす。最終12回に左ロングフックをモロニーの顎にクリーンヒットして仰向けに倒すと、レフェリーはノーカウントで試合終了を告げた。

アッパー、ストレート、フックと違うパンチで3度のダウンを奪う完璧なKO勝ち。まるで本場ラスベガスで中谷のスピードとパワーを世界に知らしめる品評会のような試合だった。新王者はWBOフライ級に続いて2階級制覇を達成し、無敗レコードを25戦全勝(19KO)に伸ばした。

田中恒成はWBO1位昇格が確実

また、同じスーパーフライ級で世界ランキング上位につける元3階級王者・田中恒成(27=畑中)は21日、名古屋市内でWBCスーパーフライ級13位パブロ・カリージョ(34=コロンビア)に10回TKO勝ち。2020年大晦日に井岡一翔に敗れてから4連勝を飾り、世界をアピールした。

田中はWBO3位にランクされており、1位・中谷が2位・モロニーを破ったことで次期ランキングでは1位に昇格することが確実。新王者・中谷への指名挑戦権を得ることも可能になる。

ただ、身長164センチで相手に打たせるきらいのある田中が、身長172センチのサウスポーで勢いのある中谷と対戦しても不利は否めない。4位にランクされるWBAとWBC、3位にランクされるIBFなど他団体も含めて挑戦の機会をうかがうことになるだろう。

とはいえ、WBC王者は世界的に評価の高いファン・フランシスコ・エストラーダ(33=メキシコ)、IBF王者は無敗のフェルナンド・マルティネス(31=アルゼンチン)といずれも難敵。消去法的には、6月24日に再戦が決まっているWBA王者フランコと井岡の勝者が最もチャンスが大きいかも知れない。

マッチメークは様々な利害関係が複雑に絡み合うため希望通りにはいかないが、中谷の王座獲得で俄然スーパーフライ級が面白くなってきたことは確か。いずれにしても今後は中谷を中心に展開する可能性もある。統一戦などビッグマッチの実現が期待される。

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